医療情報×ブロックチェーン勉強会 (2)ヘルスケア分野におけるブロックチェーンの課題と未来

前提

この記事は、下記リンクの勉強会『医療情報×ブロックチェーンプロジェクトの実現可能性と課題 [医学生向け集中講義&討論会!]』において学んだことを記したものです。この勉強会は、医療情報システムにブロックチェーンを用いることの是非や実現可能性を議論することを目的とし、医療情報システムの日本における規格作りのエキスパートとして一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会 (JAHIS) 様を、医療業界におけるブロックチェーン導入の挑戦者としてMediblocを招き、講演とパネルディスカッションを行ないました。本記事『医療情報×ブロックチェーン勉強会 (2) ヘルスケア分野におけるブロックチェーンの課題と未来』では JAHIS 様の発表内容をまとめております。この記事の内容はあくまでも勉強会を受けた参加者個人の解釈をもとにまとめておりますことをご了承ください。

記 : https://www.meetup.com/ja-JP/Decentralized-Salad/events/256262260/

目次

  1. ブロックチェーンとは
  2. IBM のブロックチェーン導入実績
  3. ブロックチェーンで医療情報を取り扱うことの可能性
  4. 医療分野におけるブロックチェーンの応用例

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは, 分散型台帳のことである。情報を管理する台帳を中央集権的に一つのサーバで管理するのではなく, 複数のサーバで管理することにより, 分散型台帳は取引の期間やコスト, 脆弱性を解消しようとする。しかし, コスト削減などが実際に実現されているかは場合による。

ブロックチェーンには4つの要素技術がある。分散台帳, コンセンサス (bitcoin だとマイナーが何人いるか), スマートコントラクト, セキュリティ。

ブロックチェーンは、改ざんはされないけれど、内容の暗号化が計算で解読されて内容が参照される可能性がある。

IBM のブロックチェーン導入実績

IBM はハイパーレッジャーパブリック (企業向けの許可制ブロックチェーン) に参加。ハイパーレッジャーパブリックは Linux Foundation が主体で作ったものであり、そのシステム上に様々な企業が参加している。

IBM の実績は銀行系や製薬メーカーとの仕事も。

ブロックチェーンで医療情報を取り扱うことの可能性

2004年 e-分書法ができ、ハッシュ関数を用いた技術活用が初めて登場した。その議論における代表的なものは電子カルテ。カルテの電子化に当たっては真正性 (改ざん不可能性)、見読性(見て読める)、保存性が重要である。電子カルテを他の医療機関に渡すときは電子署名というやり方があり、その電子署名にハッシュ関数を用いて認証局を通して相手に伝える仕組みが総務省によって整備された。また、真正性担保のためにタイムスタンプサーバがあり、データがいつのものなのかを証明している。この機能にもハッシュ値を用いる。

ネットワーク上での医療情報のやりとり (病院内での管理の仕組み + 病院外とのやりとりにおける仕組み) にたいしては3省 (厚労省、経産省、総務省) 4ガイドラインが存在し、そのガイドラインに従って決められる必要がある (4つもガイドラインがあってわかりにくいので来年からは3省2ガイドラインになるらしい)。

ガイドラインによると、ネットワークを通じて医療情報をやり取りする場合はIP設定により暗号化された通信を行う必要かつ、認証局をおく (データの送り先が偽物ではないかを確かめる)ことが必要である。

ガイドラインを踏まえた上で、ブロックチェーンを医療情報システムとして活用することが適切でないのではないかと思う理由が 5 つある。

  1. 途中でデータ送信をとめることはできないため医療情報の誤送信は取り返しがつかない
  2. 時間の概念がない (ブロックチェーンのマイナーたちのサーバーの中には時間管理という概念がなく、あくまでもハッシュ値を計算しているので時間軸がないが、電子カルテは時間の情報が必要であるため、タイムスタンプをブロックチェーンに入れる仕組みが必要)
  3. 秘匿性の高い情報を扱えない (ハッシュ値は32バイトしかないので、完璧な暗号化は期待できず。あくまでも改ざんされていないことの証明に使う必要がある)
  4. データサイズの大きい台帳の取り扱いができない (データ量が多いとマイナーによる承認に時間がかかる。Bitcoin だとブロックサイズが1MB, 平均的な取引データ量は 250バイト。電子カルテは1K, CT画像は2G のため、画像データなどの保存に向かない。)
  5. 高速処理が要求される場面に向かない

一方、ブロックチェーンによる情報管理に向いているユースケースの条件として以下のものがあるのではないかと考える。

  1. データの改ざん防止が目的のものが向いている
  2. データサイズが小さく、相手にデータが届けば頻繁にデータ確認の必要がないもの (ブロックサイズが 1 MBのため、1MB 以上のデータはまとめられてしまう) 

例えば、改ざんされてはいけないけど参照されても良いものの例としては、送金、資金決済、流通サプライチェーン、土地登記簿などがある。

医療分野におけるブロックチェーンの応用例

北海道で行われている調剤薬局のデットストックの解消サービスの実証実験などが挙げられる。調剤薬局は様々な薬を一定量持たないといけないが、ニーズのない薬は死んでしまうとロスになるため、薬局間で薬のストック情報を共有することで効率よく薬を裁こうとするシステム。ハイパーレッジャーパブリックを使用。この実証実験の検証結果として以下の結論を得たらしい。

  • 医薬品トレーサビリティ成功
  • エスクロー決済 成功 
  • 改ざん不可能性の検証成功
  • コスト削減の可能性見出す

参考URL : https://www.ibm.com/blogs/solutions/jp-ja/cloud-indetail/

前回記事 : 医療情報×ブロックチェーン勉強会 (1)医療情報の扱いと流通&政策動向

https://omegastep.com/2018/12/10/%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%83%85%E5%A0%B1x%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A-2/

次回記事 : 医療情報×ブロックチェーン勉強会 (3)医療情報をブロックチェーン上で扱うサービスの挑戦

https://omegastep.com/2018/12/10/%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%83%85%E5%A0%B1x%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A-3%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%82%92%E3%83%96/

投稿者: megavi1212

ジョージア系ユダヤ人とアルメニア人のハーフの母親と、日本人の父のもと、イスラエルで生まれる 早稲田大学先進理工学部物理学科を卒業 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻に入学 学部時代は原子核物理学を量子多体計算をヘリウム3原子系の状態方程式に応用する研究を行い、大学院では低温物理学の研究室にてmK温度域におけるヘリウム3原子系に関する実験をおこなう 大学院在学中に海外人材業界や仮想通貨・ブロックチェーン業界でインターンを経験したのち、 仮想通貨・ブロックチェーン系の投資&コンサルティング会社にて社長秘書、セールス、海外のお客様の対応窓口、海外案件のプロジェクトマネジメント等を担当 2018年より株式会社imaのメンバーとして経営戦略室に着任 仮想通貨・ブロックチェーン業界をビジネス的には離れたものの、優秀な日本の学生を海外の仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトと繋げる活動をしている。 /Graduated from Department of Physics, School of Advanced Science and Engineering, Waseda University Enrolled in the physics course of the Graduate School of Science, University of Tokyo At the undergraduate age, conducted research on applying equations of state from nuclear physics to helium 3 system as quantum many body calculation At graduate school, conducted experiments on helium 3 system at mK temperature in laboratory at low temperature physics While attending the graduate school, worked as internship for cross board human resource industry and virtual currency / block chain industry Participated in virtual currency and block chain investment & consultation company, as who is responsible for president's secretary, sales, counterparts for overseas customers, project management for overseas projects, etc Participated in ima Inc. in 2018 as Strategic Management Officer

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