ハードウェアウォレットの勉強会を開いて見て気づいたこと

これから自分でも勉強会を開いて見たいと考える方々の参考になれば幸いです。

勉強会の概要

    • 有志 (自分) 主催のもと、株式会社AndGoさん (Founder & CEO 原 利英氏)、株式会社ブレイブブライトさん (Ledger 正規販売代理店 谷古宇氏)、HashHub さんと Ledger (サポートセンターのトップ) の 4 者が協力した勉強会
    • 1日目は【インプット編】として仮想通貨やブロックチェーン、ウォレットやハードウェアウォレットの基礎等の講義と交流会を開催
    • 2日目は主に谷古宇氏によりハードウェアウォレットの動かし方の解説を、実際に参加者にハードウェアをレットを触ってもらいながら行う【アウトプット編】(ゲストにAndGo社も参加) を開催
    • 特徴は、企業による出資で開催されたイベントではなく、有志の呼びかけにより開催が決まった勉強会であること
  • 会場は HashHub さんのご厚意

リンク :

https://www.meetup.com/ja-JP/Decentralized-Salad/events/256177157/

https://www.meetup.com/ja-JP/Decentralized-Salad/events/256190390/

勉強会開催の目的

    • 谷古宇氏は Ledger の販売サポートを行なっており、仮想通貨資産を適切に管理することや詐欺に引っかからないようにすることのために必要なリテラシー教育や、ハードウェアウォレットの重要性や使い方を普及させることの必要性を感じて今後講演会などを通して草の根的に行なっていきたいと考えており、自分はその活動を応援したいと考えたため
    • また、自分は仮想通貨によって、新しい価値が可視化・承認・消費されることが当たり前となる世界観に共感しており、その世界観を実現するためには仮想通貨を当たり前のものにする必要があり、その第一歩が仮想通貨資産を適切に管理する方法を普及させることであると考えたため
  • AndGo さんもちょうど11月に同じような問題意識で勉強会を開催する予定であったため、共同開催をすることになった

仮想通貨資産運用やハードウェアウォレットの認知度に対する現状

    • 仮想通貨の勉強会に来ている人でも仮想通貨を実際に持っている人が少ない
    • 仮想通貨を持っていても、多くは取引所に置きっ放しだったり無くしてしまうことが多い (430万BTCがすでに喪失したBTCとして認識されているそう)
  • 取引所のハッキング事件等でハードウェアウォレットを購入したものの一度も封を開けていない人が多い

勉強会のターゲット

    • 上記の問題点に関して、学生に考えてもらうのはどうかと考え、 もともとは学生向けに開催するつもりだった (学生団体は、主催側に勉強会のコンテンツ提供の負担が偏るため、外部から勉強会に講演してくれる人がいたら、もう少し勉強会の負担も軽くなるだろうという考えもあった)
  • しかし学生はハードウェアウォレットを持っていないことからどれほど学生から勉強会に対する関心が集まるものかが不明であったため、一般の方にも勉強会を解放することに決定

勉強会開催当日の様子

1日目インプット編

    • 参加者 16人 (うち学生 5 名)(予約人数 20人、主催除く)
  • 参加者はほぼ仮想通貨を持っていたがハードウェアウォレットを使ったことのある人は3名程度であった
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左から原氏、谷古宇氏、自分、Ledgerサポートチームリーダー
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参加者の様子

2日目アウトプット編

      • 参加者   4人 (うち学生 0 名)(予約人数 10人、主催除く)
    • ハードウェアウォレットを購入してそのままになっていた人が 2 人参加
参加者がハードウェアウォレット (Ledger Nano S) を操作している様子 「文字が見えにくい….」
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設定ミスによりもう一度秘密キーを設定し直す様子 (Ledger はブレイブブライト社の貸し出しのため秘密キーは仮設定のもの)

ハードウェアウォレットに対する勉強会参加者の声

    • 大きい資産を送る際に不安になる
    • ハードウェアウォレットを購入しても、初期設定でミスをして仮想通貨資産がなくなってしまったらと思うと怖くて使用できなかった
    • Ledger が対応する通貨が思っているよりもかなり増えていた
    • ファームウェアの更新の仕方が不明
    • ハードウェアウォレット (Ledger) の操作画面が小さすぎて見れない
    • Ledger の pin code の操作方法が慣れないとわからない
    • Ledger の秘密キーが英単語なのでスペルミスしそう
    • Ledger は、操作しにくい印象があったが、Ledger 本体の操作さえ慣れれば Ledger Live
  • ウォレットの使い方に関する講座というのを見たことがなかったので今後もやってほしい
  • 日本語のホームページが欲しい
  • ウォレットの勉強をすると、仮想通貨やブロックチェーンについての理解も深まると感じました
  • ケータイにハードウェアウォレットが内臓されたらよいのに、と思いました
  • Bitcoin Cash ハードフォーク後のサポートも何卒よろしくおねがいします

考察

もともと学生向けの勉強会であったが、学生に比べて参加者の年齢層が上だったことから、ハードウェアウォレットに対する関心は、より大きい資産を管理する可能性のある社会人のほうが高いだろうと推察される。ハードウェアウォレットは、初期設定のハードルが高いため、購入者対象に初期設定講座等を行うとかなりの需要があるのではないかと考える。

感想

ハードウェアウォレットを普及させる上での難点を垣間見ることができた勉強会であった。仮想通貨資産を安全に管理するために必要なリテラシーの普及に関しては、年齢層によらず、業界全体で意識して高めていかないといけないものであると思った。しかし、ひとりひとり、仮想通貨資産管理に関する理解やつまずく点は様々であり、勉強会で参加者の足並みを揃えることは想像以上に体力を要するものであることを感じたため、今後もリテラシー教育に挑もうとするひとたちを積極的に応援していきたいと思った。

また、懇談会での原さんとのお話が非常に面白かったのでまた話したいです。特にゲノム解析の手法について聞きたい。

参考 : 本記事のコンセプト

ある財団の公式イベント主催に関与したことがあり、そのイベントのゴールが「このイベントを機に自主的に勉強会を開いてくれる人が増えたらいいな」というものだったので、実際に自主的に有志で勉強会を開いてみることにしました(ここでの有志とは、コミュニティ保有者でも、仮想通貨・ブロックチェーン業界で何かしら履歴書にかけるような地位を有している人でもないが、ただ自分の開いて見たい面白そうな勉強会を開こうとする人のことを言います)。この経験をシェアすることで、参加者が自主的に勉強会を開くような雰囲気のコミュニティを設計するためのヒントになるのではないかと考えています。

健全な若者ブロックチェーンコミュニティをデザインする

コミュニティデザインについて, 今後いくつか勉強会を企画しており[*0], その勉強会のモチベーションの一つとして, 学生ブロックチェーンコミュニティの現状やその問題点についてメモをしました。

*0 : https://docs.google.com/document/d/1_36V4GC3OOtG7i4LB6ILLQw9zEBRAEMeY30WG2Sgi0Y/edit?usp=sharing

目次

  1. 学生団体は, 安くて優秀な人材のプール
  2. コミュニティ活動の価値は計り知れない
  3. 学生コミュニティとして活動することのメリットと苦悩

    1. 学生団体のリーダーは必ずしも勉強会参加者のコミットを引き出せるファシリのプロではないため, 勉強会のコンテンツ作りの役割がリーダーに集中してしまうことがあること。
    2. 勉強内容について, 学生の集まり以上の質が安定的に保証できない。教育に関する協力を申し出てくださる技術者はたくさんいるが, 勉強会のオーガナイズにうまく組み込めず, 利用できずにいること。

    3. 学生コミュニティの提供できる価値が学生にしか還元できていないため, 企業などに対して長期的な支援を頼みづらいこと。
  4. コミュニティイベントには 2 種類ある
  5. 学生や学生のコミュニティが (学生に, ではなく) 社会に提供できる価値
    1. 人脈の作りやすさ (学生で((英語が話せて))ブロックチェーンが好きというだけで迎えてもらえる)
    2. 挑戦に対する抵抗感のなさと, 海外のプロジェクトに対する需要の高さ
    3. 作りたいものや取り組みたい課題が見つかると, 自主的に短期間で少人数で集まってプロダクトのデモを作ったり, 自主的に分析した結果を公開したりする活動ができる自主性
    4. コミュニティの情報や主導権だって売れる
    5. 他にも学生コミュニティが社会に提供できる価値はあると思うが, ローカライゼーションの外注先にはならない方が良い
  6. 最後に~自分が学生コミュニティをつくるなら

学生団体は, 安くて優秀な人材のプール

2018年の春, あるイベントを自分の知人がひらくことになり, 自分の通っていた勉強会の代表や学生を巻き込むことになった。イベントの企画のために, 学生の子たちとイベントの協力者とでミーティングを開いたところ,ミーティング場所には学生に混じって知らないスーツの 50-60代ほどの方が腕を組んで鎮座していた。その方はイベント企画の間中一言も話さず, ミーティングが終わると学生らに名刺を配って去って行った。

今年 (2018) の春, 大学院を中退ほやほやの私は学生気分のまま, 友人の友人が代表の, ブロックチェーンや仮想通貨に関する学生主体の勉強会に, 純粋に勉強仲間を求めて通っていた (当時は, 業界の学生団体による第1回目の勉強会が始まったような時期であった)。しかし上記の一件があってから, 学生団体は, 優秀な, もしくは少なくとも暗号通貨/Blockchainに関する活動に積極的な学生のプールであることを認識した。自分の中の学生気分のままの部分は, 純粋に勉強をしたり, 暗号通貨/Blockchainに熱狂する仲間を見つけたくて入った学生団体が, そのようなプールとして見られることを嫌がったし, 一方で社会人の部分の自分は, そのような優秀な学生のプールに企業が何かしら関わりたいと思う気持ちも理解できた。

学生団体のチャットグループには, 学生経由で様々なアルバイトやボランティアの仕事が落ちてくる。時給1000円そこらの暗号通貨/Blockchainのリサーチャーのアルバイトや, 翻訳のアルバイト, 暗号通貨/Blockchain業界の企業やインフルエンサーが登壇するイベントのお手伝い募集。。。そして, 学生たちがお金を稼ぎつつこの業界に関わりたい, と思う時の発想も, 翻訳手伝います, イベントやリサーチやります, だったり, プロジェクトの SNS 運用をします, だったりと, 自分の時間を切り売りするもの (もちろん翻訳やイベント屋さん, リサーチ, SNS運用のプロになりたいという学生なら話は別だが) が多い印象である (中には自分で開発の勉強をしてから, エンジニアとして企業でインターンをし, スキルを身につけている学生もいる)。しかし, ここ 4 ヶ月ほど, 5 つの学生団体・学生コミュニティの活動や, 学生たち一人ひとりとコミュニケーションをするなかで, この業界の若い人にしかできないこと・可能性は, 翻訳, イベントやリサーチの比でないことを痛感した。

コミュニティ活動の価値は計り知れない

我々は, この業界がまだ非常に若く, 混沌としており, 将来的には必要な業界の機能であるのに, まだ誰も手をつけていない活動がたくさんあることを知っている。その必要不可欠な機能のうちの一つが,  アカデミックで若者 (年齢というよりは,  変化を恐れずに挑戦意欲旺盛な人のことを自分はイメージしている気がする) 主体の,  既存のビジネスやインフルエンサーの利権や意見などに本質的には左右されることがなくオープンで,  挑戦意欲にあふれたコミュニティである(適切で完結な表現が見当たらない)*1

そのようなコミュニティの原動力となるのは, (キャリアやビジネス上の評判, 家族を養うために必要な収入といった失うものを持っている) 社会人ではなく, 学生 (のような, アカデミックないし知識欲に満ち溢れたひとたちであり, かつある程度挑戦をしても失うものが少ない人や, 挑戦して失敗しても何とかなると構えている系の人, 失うものはあるが失うリスクを冒して意思決定ができる人) ではないかと私は考えている (適切な言葉が見つからない)。ともあれ, 学生の中には, そのようなコミュニティを自主的に作ろうとしている人たちや, すでに学生団体やサークルを作り活動をしている人たちがいる。

コミュニティが 2 人以上の人間の集団のことを指すのであれば, コミュニティというものは, 学生団体ができる前から存在していたことになるが, 学生団体の創設者たちが生み出した価値とは, そのコミュニティにラベルをつけ, 外部からその実態を認識可能にし, 新しいメンバーを受け入れたり, 学生メンバーたちが自分たちはコミュニティに所属しているという意識を持つことができるように演出したことだろう。これは, 翻訳やイベントの手伝い, リサーチアルバイトをすること以上の発想が必要な活動であると私はおもう。ラベルがついたコミュニティをつくることは, コミュニティが小規模であったり認知されていないときにはどのような価値があるものか想像しにくいだろう。しかしコミュニティが大規模であったりコミュニティに所属意識や愛着をもつコミュニティメンバーが増えるときに初めて, ラベルのついたコミュニティの重要度が認識されるのではないだろうか。外部から認識が可能なコミュニティの重要さの具体例として,  「この勉強会に行けば学生のコミュニティに触れることができる」と新参者が認識できることや,  すでに所属するメンバーが安心感・帰属感を持つことのできるような役割,  研究者が10年後に2018年の仮想通貨・ブロックチェーン周りのコミュニティの動きについて調査をしたいと願った時,  研究者がアプローチできる窓口の役割を果たしたりする。そのような機能をもつコミュニティを創設した学生団体のリーダーは, コミュニティ活動における意思決定者としての立場を獲得し, 業界に対してある程度の存在感を持つことになるだろう。

*1 また, ここでいうコミュニティとは, ((ブロックチェーンや暗号通貨が世の中を変える, などの)) 同じ価値観/ビジョンを共有する人間の集団のことである

学生コミュニティとして活動することのメリットと苦悩

1. 学生団体のリーダーは必ずしも勉強会参加者のコミットを引き出せるファシリのプロではないため, 勉強会のコンテンツ作りの役割がリーダーに集中してしまうことがある。

学生コミュニティは, 様々な企業や社会人からの協力が得やすい場合がある。営利目的の会社が借りようとすると場所代を払う必要があるようなイベントスペースでも, 学生が主体のイベントであると「非営利目的のイベントであれば支援したい」や「学生の学びを支援したい」といって貸してくださるところはいくつも思いつく。実際, 学生向けのイベントを開催したときは, 会場費を無料にしていただいたり, 無償ないしわずかなお金で登壇してくださる方に恵まれた。学生団体の勉強会のために, 企業の方が自主的に講演をしてくださったり,  勉強会にともに出席していただき, 内容にたいする技術的な面でのコメントをくださる場面にも出会った ( : ALIS : https://twitter.com/Blockchain_UT/status/987983976810737664, Gumi : https://twitter.com/Blockchain_UT/status/1032102758105542656, Yenom : https://twitter.com/cryptoage_jp/status/1031110394788511744, Hashhub : https://twitter.com/cryptoage_jp/status/1048905133113802753 の方がたなど)。海外のプロジェクトでも, 学生コミュニティを支援する活動に興味を持っているとファウンダーやコアメンバーが言っているところはいくつも思いつく ( : TLDR のアレックスや wings Stas, Metamask kmavis など)

企業や社会人が, 特に学生団体の勉強内容の質の向上に対して協力してくださることは, 学生の勉強会にとっては非常にありがたいものだ。学生主体の勉強会の難点の一つに,   勉強会のコンテンツをつくる役割が, 毎回学生団体のリーダーに集中し, リーダーの負担が大きい, というものがあるからだ*2

私が顔を出していた学生団体のリーダーと以前話した時, 彼は, 講演をしてくださる方を呼ぶことができると, 勉強会を開く負担が減る, という趣旨のことを言っていた。学生団体のなかには, 様々な企業や社会人の協力のもと, 学ぶ機会を増やしつつ, いっぽうで企業がイベントを開いたりアルバイトを募集するときはその告知を勉強会メンバーに行うことで, 持ちつ持たれつを実現しているところもある。

*2 20186月ごろに, 4大学の学生団体のリーダーとそれぞれ話す機会があり, この点について意見交換をした。この点について, 特に困っていると答えた学生団体は, 毎回の勉強会の参加人数が10人を超える規模のところであり講義式の勉強会になっていた。それほど困っていないと答えた学生団体は, 毎回の勉強会に参加する人数の平均が所感10人以下で議論しながら勉強を進める形式であった。学生団体は, 今年できたものが多く, いつでも誰でも, 違う大学であろうが, 社会人であろうが, 一回の参加であろうが, 勉強をしたいという人に対してはどこもある程度オープンな団体が多い (少なくとも私の知っている学生団体の勉強会 4 つは全てその特徴を持つ)。勉強会の参加者が多いにも関わらず参加者のコミットがあまり期待できない学生団体が存在するのは, 帰属意識を参加者に持たせていないことが原因なのではないかと考えている。ただ, オープンであることの良さを保ちつつ, 参加者に帰属意識をもたせ, 勉強会にコミットさせるスキルというものを, 勉強会を開いているリーダーたちが必ずしも持っているわけでも, 忙しさによりそこまで考える余裕があるわけでもないだろう。

2. 勉強内容について, 学生の集まり以上の質が安定的に保証できない。教育に関する協力を申し出てくださる技術者はたくさんいるが, 勉強会のオーガナイズにうまく組み込めず, 利用できずにいること。

学生団体の抱えるもう一つの問題は, 勉強会中に疑問がでた時に, 技術的な質問などに対してその場で解決してくれるメンター的存在がいないことだ*3。学生コミュニティの中には, 翻訳などのアルバイトを受けたり, コミュニティスポンサーを探すなどしてコミュニティ内でお金を作り, 毎回の勉強会で技術について聞ける人を継続的に雇いたいと考えているところもあった (お金で解決しよう的アプローチ)。勉強会に対して, ちょっとくらいなら喜んで手伝うよ, というエンジニアの方, 企業の方はたくさんいるが, 勉強会のたびにそのようなメンターに協力を依頼したり, 探すことはリーダーにとって非常に労力なのだ。技術メンターに, アドバイザーになってもらうなどして, 一定期間以上継続的/定期的に来てもらうこともできるだろう (例えば, Keio Health X  などの, 最新のテクノロジーを学ぶ医学生による学生団体などは, 様々な企業からメンター的役割の人を迎え入れている : https://www.keio-healthx.com/blank-2)。しかし, 勉強会が現時点でそれほど整理された状態ではない (協力者を依頼するスキームが整ってなかったり, 勉強会のコンテンツも先々まで決まっていなかったりなど) ことや, 社会人に定期的にコミットを求めるほどの win, 現時点で学生団体側が提供できない (ないし, 提供の仕方もまちまち) など (次章で詳しく説明), 様々な理由からその実現が叶っていない。

*3 20186or7月ごろ, 元ブロックチェーン事業に関わっていた方について, 学生団体が技術メンターを探していると相談をしたところ, いつでも相談をしてほしい。とご回答いただいた。しかし, そのような方を学生の勉強会に毎回お呼びするわけにもいかないので, 一度ある学生団体には, 毎回の勉強会で出た疑問をブログなどに公開すれば, 私や学生団体を気にかけてくださっている様々な方が疑問解決に尽力してくれて, コメントなどくれるはずであるから試してみたらどうか, と提案したことがある。

3. 学生コミュニティの提供できる価値が学生にしか還元できていないため, 企業などに対して長期的な支援を頼みづらいこと。

また, コミュニティを盛り上げようとして, 様々なプロジェクトとイベントを開く学生コミュニティもある。そのコミュニティのコアメンバーたちは, 様々な国内外のプロジェクトやアカデミックな機関を巻き込み, メンバーに対して質の高い教育や挑戦の場を提供できるようなブロックチェーンコミュニティを作りたいと考えている。現時点で, そのコミュニティの活動は全て学生のボランティアで成り立っているが, 上記のビジョンを実現するためにはそれなりに大人数の, かつ長時間のメンバーによるコミットが必要になってくる。学生コミュニティのコアメンバーたちは, コミュニティの活動にコミットしてくれた学生に対して, それなりに報酬をはらえるような団体にしたいと考え, 報酬を払うためにスポンサーを探したり, 翻訳などの仕事をコミュニティ内で請け負うことなどを考えているそうだ。

これは, 重要な取り組みである。なぜなら, 短期的な翻訳やリサーチのアルバイトを受けるよりもクリエイティブな活動をしているのに, それに対する報酬がないと, コミュニティ活動をするためにコミュニティ活動とは別にアルバイトをしなくてはいけなくなってしまうからだ。しかし, そのようなコミュニティは, 学生にとっては価値があるが, スポンサーとして出資を依頼する企業ないし投資家に対しては, 安定的に相応の win を提供できるものではなく (例えばリクルーティング機会になる, と謳ったところでその CV を保証できるものではない, など), 出資者の善意に頼ってしまう現状がある。また, 一部の理解ある人や企業にだけコミュニティ活動が支えられると, 理解ある人や会社のリソースが一方的に削られるだけで, 安定した活動が見込めない。学生だから助けてください, にはいろんな意味で限界があるのだ。

そして, これは個人の所感であるが, このような学生団体が, 将来的に研究団体として発言力や存在感を有し, 規模の大きなことに取り組もうとするときに一番必要になってくるのは, 適切なパーティーに適切な要求をしつつ相手にwinを提供する交渉力, 学生/若い人の集まりでしかできないことを見つけ, winとして売りにすることで「学生だから助けてください」的立場から卒業することではないか, と思う*4。この交渉力は, 201810月の現時点では, どの学生コミュニティも持ち合わせていないように思う。

*4 一緒に提携したり活動したりする企業や社会人のデューデリをする能力 (盲目的なフォロワーにならないように客観的に相手の実績を判断することにより, 学生団体のネームを守ること) も必要だ。

コミュニティイベントには 2 種類ある

CryptoAge (https://twitter.com/cryptoage_jp), Hash hub (https://www.hashhub.tokyo/)など, 学生の活動を盛り上げたり支援したりするコミュニティや拠点,  Meni Rosenfeld bitcoin meetup (https://www.bitembassy.org/)や Ken Shishido さんらの開く東京 bitcoin 会議 (https://www.meetup.com/ja-JP/Tokyo-Bitcoin-Meetup-Group/), ゼニハウス (https://twitter.com/zenihouse) でのビットコインとは何かの初心者向けの無料の解説会や, サンタルヌーでの飲み会 (https://belgianbeer.tokyo/), 参加費無料のピッチイベントやインフルエンサーによる登壇やセッションのイベントなど, コミュニティはいろんな実体として, 我々の前に姿を表す。これらコミュニティイベントや拠点の中には少なくとも 2 つの種類のモチベーションがあるのではないかと考える (カテゴライズできていないものもあるので, 2  種類以外の形態も存在するだろうとは思っている)。コミュニティイベントの種類につける名前として適切なものが思いつかないため, 種類 A, B として紹介する。以下, コミュニティイベントとは, 参加者無料のもののみを対象とし, 教育や情報発信, 交流などが目的で, かつ営利目的ではないこと&企業同士のマッチングやリクルーティングも視野に入れたカンファレンスなどのイベントではないものとする。

種類 A : 東京bitcoin会議, テルアビブのBitcoin embassy, ゼニハウスでのビットコインとは何かの初心者向けの無料の解説会など, この業界に興味を持った人が交流できる場所を安定的に用意するイベントや拠点。ミートアップの参加者の情報などは集めず (ミートアップでの参加ボタンを押す必要があるが, 入り口でチェックしたり名刺集めたりしない), イベントへの出資者が少なく, 出資者あたりの負担が比較的大きい印象の活動である。集めるべき目標人数もなければ, 特定の属性を持つオーディエンス (エンジニア対象だったり, 学生対象だったり) だけにフォーカスしたイベントでもない。来る者の属性を主催者側が選ばず, 参加者にコミュニティ (自分と同じく暗号通貨やブロックチェーンに何かしら興味関心をもった集団) と必ず接触できる物理的場所や機会を無償で提供しているところに非常に意味がある。仮想通貨ないしブロックチェーン周りのコミュニティメンバーの交流の場を設けることにより, 草の根的にコミュニティを盛り上げる運動を何年も続けている方々がいることは非常に尊敬に値すると私は思う。似たようなものに, Meni Rosenfeld が bitcoin embassy にて主催するビットコインミートアップがある。このミートアップは, 毎週水曜日にイスラエルのテルアビブで開催され, 業界に2013年くらいからいる Meni , Meni の運営している bitcoin embassy を運営する方が, 「ビットコインとは何か」, を参加者にヘブライ語で解説している。ブロックチェーンやビットコインに関心を持った人が入門として顔を出すようなミートアップである。このミートアップも, 事前登録が必要であるが, ミートアップ会場で登録者をチェックしている様子はなく (データを何に使っているのか今度聞いてみよ…) , ビットコインやブロックチェーンに関心を持つ人を少しでも増やそうとしている草の根的活動と言える。この種類に共通しているところは, おそらく主催側が「自分がやらないと誰もやらない的」使命感により少なくとも 1 年以上前から開催されているものであり, スポンサーがいない身銭を切った活動であるということであろう。毎回のイベントの趣旨自体は代わり映えするものではなく一貫性があるが, コミュニティ形成にとって, 「少なくともこのイベントは今月も絶対に開催される」ことの安心感をオーディエンスに与えることは非常に重要であると思う。東京では, 仮想通貨やブロックチェーンに関するイベントがあふれ出したが, ほとんどが一回で終わってしまうイベントであることが多い。しかし, 上記のイベントは, 毎回のミートアップで同じメッセージを参加者に向けている。登壇者, 主催者も変わらない。同じメンツが来ることも多い。

種類 B : 学生コミュニティや学生団体などの開くイベント。程度の差はあれど, コミュニティであることを売りにして, 協力者のイベントに対するコミットを引き出しながら, コンテンツを充実させたり参加人数を拡大する, という性質やモチベーションを持つイベントを指す。また, イベントを開くときに, 一定数の学生やエンジニアと接することができることをインセンティブとして(リクルーティング目的のイベントではないので, あくまでも企業や個人の方の「学生の学びを支援することはこの業界にとって重要である」という善意やビジョンへの共感を頼りに), 企業やプロジェクトに協力を依頼する, というシーンがあるコミュニティイベントである。このようなコミュニティイベントは, 一回一回のイベントの質は他のピッチイベントなどに比べると高く (オーディエンスから発せられる質問の質などが高い), またオーディエンスが (コミュニティに対する親しみを持っているためか) twitter 上などでイベントに関するツイートを自主的にしている印象がある。企業側が, 例えば学生対象に単発のイベントを開きたいと考える時は, 上記のような学生団体と手を組むことによるメリットは大きい。

しかし, 学生向けのイベントや勉強会を行なっているだけの学生のコミュニティが, それ以上の機能 (ex. 研究/教育機関的役割だったり, 学生起業家集団の支援だったり) を持ちたいと考えると, 途端に企業側が永続的にそのような学生コミュニティを支えるメリットが見えにくくなり, 学生コミュニティ側にそれなりの「相手にwinを提供できる」交渉力が必要になってくる。ある学生向けのイベントや勉強会を行なっている学生のコミュニティに聞いたところ, 彼らが言う現時点で提供できるwinとして提示したのは

・学生支援をしている企業としてのイメージアップ

・優秀な学生への認知*5

などであった。が, これは学生コミュニティと一回イベントを開くときに得られるメリットとほぼ同じであり, 企業側は「学生コミュニティと1回イベントを開く」だけの関係を選ぶであろう。

現時点で学生コミュニティに必要なことは, 「学生コミュニティが社会に提供できる価値」を, 学生の発想から抜け出して考え (自分たちが何をしたいか, だけではなく, 社会が自分たちに何を求めているか, も考える), 企業や社会人に「売」ることで永続的に支援をしてもらい, 研究活動等に打ち込めるような環境を作ることである。この環境づくりは, 翻訳やSNS運用のアルバイトを引き受けるクラウド化して時間を切り売りしたり, イベントにボランティアを派遣するといったような人員を貸し出すことのできるプール化することではない。ベストな環境づくりの発想を得るには, 多くの「商売やビジネスの感覚を持った人間」のセンスが必要になってくるのである。私のような個人が考えるには非常に限界があることを自分は今身を以て体験しており, 皆さんに協力を要請したくてこの文章を書いた。

*5 優秀な学生が必ずしも御社に入社したりインターンに来てくれるとは限らないし, 起業を自分でしたい系の学生は, 時として「自分で決めたい, やりたい」意欲が強いのでアドバイスをいけ入れなかったり, 様々な人のアドバイスを独自に解釈して行動するため, 企業側からすると扱いづらいこともあるのではないかと思う。

学生や学生のコミュニティが (学生に, ではなく) 社会に提供できる価値

私個人が考え得る限りの学生のメリットを挙げる。

1. 人脈の作りやすさ (学生で((英語が話せて))ブロックチェーンが好きというだけで迎えてもらえる)は間接的に日本人コミュニティに還元することができる

学生団体の一つが, クラウドファンディングにより集めたお金などを用いて, 海外にリサーチに向かったことは記憶に新しい。そこで彼らにリサーチをした感想を聞いたところ, プロジェクトだけでなく, 他国の学生団体や研究機関にも快く迎えられたということだ。彼ら学生のつくる幅広いコネクションによって, 彼らにつながりを持つ学生やその他コミュニティメンバーが間接的に幅広いコネクションにつながり, 将来的に日本のコミュニティができることが増える可能性は高いのではないかと考える。

20186月ころまで, 自分は, ICO を成功させたことのあるような勢いのある海外の暗号通貨/Blockchain関連プロジェクトなどを相手にした窓口のような仕事をしていた。その中で, 英語である程度コミュニケーションが取れる学生/若者で, かつ暗号通貨/Blockchainが好きであるというだけでも, 人材として予想以上に需要があることに気がついた。この界隈は, 成功しているプロジェクトであっても, 規模的には「スタートアップ」であり, 常に人材不足である。そして人件費にたくさんはお金を払えず, 何かのプロフェッショナルであり高給の人材を雇うよりも, ビジョンに共感し, ビジョン達成のために常に学び続ける人を重視して雇うイメージがある (個人的な感想であり, 統計的事実があるわけではない)。個人的には, 日本でこの業界で学び活動する学生たちは, 起業したりスタートアップで働くことに対して抵抗が少なく, ブロックチェーンに限らず新しいイノベーションに敏感 (以前学生対象の勉強会でアンケートを取ったことがある) , フットワークが軽い印象であるため, 海外プロジェクトの日本におけるスポークスマンとして働きたい学生がいれば, その学生の需要は非常に高いと考えている (そのような若い人材に興味がないと答えたプロジェクトは, 少なくともここ2ヶ月でで出会ったプロジェクトの中にはいなかった)*6

そして, 積極的に海外のプロジェクトと関わりたいと考えている学生は, 日本のブロックチェーン/暗号通貨コミュニティにとっても貴重な存在である。なぜなら, 現時点で有名なブロックチェーン/暗号通貨系プロジェクトは全て海外のプロジェクトであり, 海外のプロジェクトにジョインしている日本人はまだまだ少ない (個人的な意見)。よって, 日本のコミュニティが海外のプロジェクトと提携したり一緒にイベントを開いたりなどをしたいときに頼れる日本人の数が根本的に少ない (個人的な意見)

積極的に海外と関わりたい学生が, 世界各国のプロジェクトに一人でもジョインしていたり, 深い関係を築いたりすることで, 例えばその学生が日本の企業に将来的に就職すれば, その学生は日本の企業と海外のプロジェクトを繋ぐ要になる。学生が海外のプロジェクトに就職し, 海外の情報を日本に発信する存在となれば, 日本の企業やコミュニティが, 海外のプロジェクトに対するコネを今以上に有することになり, 日本人コミュニティに入ってくる生の情報や人脈の質が全体的に上がるのではないかと考えている。

海外のプロジェクトと学生のマッチングがうまくいっていない理由があるとすると, それは両者の要求がかみ合っていないことにあると考える。

例えば, 海外のプロジェクトが日本の学生を雇いたいと考える理由は主に 2 種類あることを, ヒアリングの結果 (10プロジェクト以上は確実にヒアリングした) から感じた。一つは安くて優秀な人材 (SNS運用やコンテンツ作りなど, 日本におけるローカライジングを手伝ってもらう労力) として。 もう一つは自社プロジェクトの日本におけるスポークスマンとしてだ。この 2 種類の理由は, ともに日本市場に入る上での人材としての利用という趣旨であるが, 要求する仕事の質が圧倒的に異なる。前者はアルバイトとして, 顔出しなしで時間を切り売りして活動することだ。そして後者は, 同志としてプロジェクトの顔として活動することだ。現在の仮想通貨の下り相場では, 海外のプロジェクトが日本においてプロモーションをする際には, 専門PR&マーケティングの会社に頼まずに, アルバイトに依頼して安く済ませたいという前者の需要も出てきたが, 後者の需要の方が圧倒的に高いという所感を自分は持っている。

ある海外プロジェクトの「同志として」働く日本人は, その海外のプロジェクトのCEOや役員などにとって「信頼できる日本人」となり, 将来的には, 例えば日本支社を作ることになったらその支社の社長を依頼される可能性がある人間となる。そして, 「同志として」働く, とは,  例えば日本で行われるカンファレンスなどに, 海外プロジェクトの代表として登壇したり, 日本企業とのミーティングを任されることである。海外にいて日本人とコミュニケーションをとる機会が少ないプロジェクトが, このような人材を獲得できる可能性は非常に低い。そして, 「同志として」働く日本人を見つけることができないために, 日本支社を作ることができない (進出が面倒になる) 事態も生じることがある。

さて, 海外のプロジェクトで仕事をしたいと考える学生が, 海外プロジェクトの求めていることが主に「アルバイト」ではなく「同志」であるという発想を持つだろうか。いいや, 普通は持たないだろう。以前, 海外のあるプロジェクトにインターンをしたい学生がおり, 海外プロジェクトに紹介をしたことがある。そのとき, 学生はプロジェクトが「アルバイト」を求めていると考えており, 一方でプロジェクト側は「同志」を求めていたため, 海外プロジェクトと日本の学生の話が噛み合わない, ということがあった。学生に, 「同志」のニーズがあることを伝えると, 顔を出してプロジェクトを応援するリスクはなるべく冒したくないという返事が帰ってきた。確かに, 物理的に距離の遠いプロジェクトないしプロジェクトのCEO, 学生がそのプロジェクトの掲げているビジョンだけで信用できるようになるか, と言われると否であろう。ビジョンに共感できることと, 経営者を人として信用 (, そしてこの経営者のために働きたいと思うことが) できるかは別問題だ。学生もお金や機会がないため, 積極的に海外のカンファレンスやインターンに行くなどして様々な人と深いコミュニケーションを築くことが非常に困難であるし, 海外のプロジェクトが日本にくることのできる回数も, そう多くはない。

海外のプロジェクトに, エンジニアとして働きたいという学生に関しても, 同じような「お互いのwinがかみ合わない現象」が生じる。海外のプロジェクトからすると, いくら人件費の安いエンジニアだからといって, 遠隔からのインターン希望であったり英語が母国語でなかったりすることでコミュニケーションコストがかなりかかる日本人の学生をわざわざ雇う義理はないのだ。この場合, エンジニアとして働きたい学生側が, 海外のプロジェクトがいま何を必要としているかを理解し, 自分から要求内容を工夫する必要がある。それは一段落前で挙げた「同志」のニーズを考慮することである。エンジニアとして海外プロジェクトにインターンを希望する学生なら, 例えば, そのプロジェクトが日本に来日する際はミーティングやイベントの登壇/主催に関することを手伝う, だったり, 日本語に関する翻訳のチェックを手伝うだったりを提案するなどして, 相手にとってもwinが強くなるような状態を, 相手に頼らずに自主的に作り出すことが必要である。「インターンしたいです。自分を活用する方法はあなたが考えてください」では忙しいスタートアップも判断に困るのだ。

このような噛み合わない現状は, 学生が悪いわけではない。学生は, 私もそうであったが, インターンをしたければ wantedly や就活サイトなどで様々な募集を見つけることができるからだ。アルバイトやインターン, 就職の条件に関してはデフォルトとして受け身であり, 自分で交渉する機会などは私も含めなかなか日本では恵まれないのだ。また, 学生と海外のプロジェクトの根本的なコミュニケーションの機会が少なかったり浅かったりすること*7 により, 学生側が信頼できる人を海外に見つけたり,  海外のプロジェクトがいまどんなことに悩んでいるのか, といったことにたいして知ったりする機会がないことも原因としてあるだろう。海外の人脈を持った大人が, このような学生と海外のプロジェクトの出会いの場をたくさん用意しつつ, 学生に対してはどのように海外のプロジェクトに接すれば良いのかをアドバイスしながら, 両者の交流を手助けするか, この記事を書くことしか現状解決策が見当たらない。

*6 また私は, 異なる文化圏の人間 (海外の人) を交えて仕事をすることは非常に勉強になると考えている。異なる「当たり前」を持つ人とコミュニケーションをとると, 自分の世界観の狭さや傲慢さに気がつくことが多く, そして自分と異なる「当たり前」を持つ人は比較的海外の人 (日本文化の中で育っていない人) の方が多いと感じているためだ。

*7 海外のプロジェクトのピッチイベントに学生が参加し, いくつか質問して最後に記念写真を撮って, 学生はプロジェクトのCEOに一切連絡先を聞かずに, もしくは連絡先を知ってもその後のコミュニケーションをせずにおわることが続くようでは, いつまでたっても日本の学生と海外のプロジェクト間の深いコミュニケーションはできない。連絡先を聞き, (メールで質問ぜめにすると相手も返信が来なくなるので,) 相手がカンファレンスなどに行くタイミングに合わせて自分も相手に会いに行き, オフラインでのコミュニケーションを何度かしてから 1 1 でどこかご飯に行ったり話したりする機会を設けることは重要だ。一対一で深く議論をすれば, なんとなく合う合わないはわかるはずであるし, そこから深い付き合いは始まってくるものであろうと思っている。

2. 作りたいものや取り組みたい課題が見つかると, 自主的に少人数で集まって短期間でプロダクトのデモを作ったり, 自主的に分析した結果を公開したりする活動ができること

学生の勉強会や, 勉強会に参加している学生などによくありがちなのが, ブロックチェーンや暗号通貨に関する技術やビジネスについて学び, 実際に自分でも(もしくは学生団体として)なにかしてみたいけれども, 解決したい問題を持っていないことだ (そして,「お金儲けには興味を持っていない」「なにか社会のためになったりインパクトのあることや, 面白いことをしたい」系であることが多い) よって, 例えば仲間と起業することに興味があっても, 事業内容が決まらないので, すでに事業に取り組んでいるスタートアップにジョインする, という例をよくみる。

学生たちが,「解決したい問題を見つけるきっかけ」として自分が知った例としては, 「アイデアソンなどをきっかけにして自分たちが考えたアイデアをもう少し詰めてみたい」とか, 「学園祭などのきっかけに合わせてプロダクトを開発したい」とかがある。この業界の技術に熱をあげている若い人たちを見ていると, 作りたいものや取り組みたい課題が見つかると, 彼らは自主的に短期間で少人数で集まってプロダクトのデモを作ったり, 自主的に分析した結果を公開したりするモチベーションが高い印象を受ける。このような自主的な活動ができることは, 彼らの非常に素晴らしい性質であるから,  学生や学生のコミュニティが社会に提供できる価値として活かした方が良いように思える。

例えば, どこかプロダクトを有しているプロジェクトと短期で提携し, プロダクトのユーザーを広めるための実証実験に関わ ( : 導入事例を作) ったり, その中で生じる様々な弊害 (そしてその弊害の解決には, テクノロジーの力だけでなく, 様々な学問の力を必要とするだろう) に対してコミュニティ内で研究し, プロダクトの必要性や課題などについて客観的に議論し, その結果を公に共有する (対企業やプロジェクトに対するメリットにもつながる) というのはどうだろうか。そのような活動を, 比較的小規模な提携から実行していき, 質の高いナレッジを公にシェアすることで, 学生コミュニティの存在意義, 有益性を日本の企業群やインフルエンサー群に対して訴えるのはどうだろうか (コミュニティと企業が提携する, のではなく, コミュニティ内の一チームがある事業で企業と短期的に提携することの提案である。ただし, この提携をするには, *4で触れたスキルが必要になる)

3. コミュニティの情報や主導権だって売れる

暗号通貨/ブロックチェーン業界の企業だったら, 学生コミュニティの有するアセットとして魅力的に思うのは, イベント参加者やコミュニティメンバーの名前と連絡先の名簿 (何か告知や活動をする時に協力を養成するためのプールとしての役割) , コミュニティ活動に自身の意見を反映させることのできる権利を得ることで自身のアセットを増やすことだろう (実際のコミュニティ運営における実働の責任や苦労は負わずに, 必要なときだけリソースとしてコミュニティを呼ぶことができる, イメージ)

学生コミュニティと良いつながりを持っている, ということは, それだけで企業/社会人にとっては売りになる (これは学生コミュニティに関わる社会人や企業のみんながみんな, 都合の良いときだけ学生プールを利用しようとしている, という主張ではない。学生コミュニティを支援することで, 将来的に自分の活動がしやすくなるだろうし, たとえそうならなかったとしても, 学生を支援することは草の根的活動としてやっていきたいと考え, 時間や知恵, 場所などを惜しげも無く支援してくださる方は確実にいる。しかし一方で, 20184月ごろ, ある人がイベントを開く際に, その人と関係が深かった学生団体が, その人によって勝手にイベントのボランティア実働として働くことにされていたことがあった, という話もあったのだ)

学生のコミュニティは, 上記のような価値/売りにできるものがあることを理解した上で, コミュニティにとっても, それを支援したいと申し出てくれる企業にとってもwin-winの提案をできるようになることが必要であろう。学生コミュニティ側も, 相手に与える情報や権利の範囲を注意深く吟味しないと, コミュニティメンバーを売ったりメンバーからの信頼を欠くことにつながりかねないので, 慎重に塩梅を見極める必要がある。学生コミュニティの味方となって, そのような交渉ごとを仲介してくれたり, アドバイスをする大人が増えれば増えるほど, 学生コミュニティのリーダーたちはきっと, 自分たちがコミュニティ活動によって, 協力してくださる企業や社会人にどのようにお返しができるようになるだろう, と考えるきっかけが増えるだろう。

4. 他にも学生コミュニティが社会に提供できる価値はあると思う。が, ローカライゼーションの外注先にはならない方が良い

学生コミュニティの中には, コミュニティ内で翻訳やプロジェクトのSNS運用の仕事などを回してできたお金で, 技術メンターをお呼びしたり学生のコミュニティへのコミット (イベントの企画や手伝いなど) に対して報酬を与えたりしたい, と考えているところがある。しかし, そのお金を生み出す手段として, 学生コミュニティだからこそ提供できる価値 (単発のイベントをプロジェクトとともに開き, そのイベントの際に必要な稼働費をプロジェクトに請求したり, カンファレンスに学生参加者枠があったら, その集客を申し出るなどしてその報酬を活動費に回す, など) を提示するならまだしも, プロがいる業界に手を出す (コミュニティ内で翻訳やプロジェクトのSNS運用の仕事などを回し, ローカライゼーションの仕事をしようとする) のは本気でオススメしない (学生コミュニティの中で, 本気でSNSマーケティングや暗号通貨/ブロックチェーンプロジェクトのコンテンツ作りに興味があり, そのスキルを磨きたいというチームがいれば話はべつだが。。。)。ローカライゼーションの仕事は, 細かい仕事や役割分担が多く, 誰が今何をやっているか把握するだけでも一苦労であるため, コミュニティをアルバイトのクラウドとして使うには限界があるからだ。プロでもないので, コンテンツのクオリティも, マーケティングの効果も保証できない。コミュニティ内で仕事が回らなければ, コミュニティに仕事を外注したプロジェクトとコミュニティ間の関係も微妙になってしまうだろう。翻訳, SNS 運用などプロのいる領域の仕事を学生が時間と人材のリソースを切り売りすることで対抗しようとしても, それは学生コミュニティが学生にしかできない価値を社会に提供しているとは言えない。

最後に~自分が学生コミュニティをつくるなら

学生=学校に通う人というのであれば私は学生ではないが, 研究活動とそれをシェアすることは非常に好きだ。自分が学生コミュニティを作るなら, どのようなコミュニティを作るのか, ここ3ヶ月ほどずっとそのスキームなどについて考え, 様々な人たちから助言をいただいた。もしそのスキームをともに実現し, 長期的には受け継いでくれる学生や, コミュニティ形成・育成に興味のある社会人の方がいらっしゃったら, ぜひ相談にのってほしい。ここでその全貌を書くと, 気持ちが入りすぎて記事がより長くなってしまうため, 興味のある方がいらっしゃったら, ぜひどんな形でも連絡していただけると嬉しい。

この話の最初に, 学生団体に近づく怪しい社会人に嫌悪感を感じた経験を書いた。しかし, 学生と関わっていくうちに, 善意だけで (ビジネスをせずに) 一方的に学生の相談に乗ることは非常に辛いものであることを身に染みて感じた。そして, なるべくエゴな要求を学生にしないように気を遣ったり, 自分は学生と関わることで, ノーリスクで学生アセットを手に入れて利用していないか, とか, 自分は学生を利用する怪しい社会人なのではないか。と, 綺麗に行動しようとすればするほど, 自己嫌悪になることが非常に多かった。今もその状態が続いているが, イスラエルで全く別のことをしている中で, 少しづつその憂鬱から解放され, この記事を書くに至った。この記事を書くことで, 自分が怪しい人間ではないと皆に証明してほしいだけなのだろうと思う人もいるだろう (それも一部あるだろう)。が, 自分が本気で悩んだ経験やその経験を分析した結果を様々な人とシェアをしたかったので, ここに記した。最後まで読んでいただき, 本当にありがとうございます。