健全な若者ブロックチェーンコミュニティをデザインする

コミュニティデザインについて, 今後いくつか勉強会を企画しており[*0], その勉強会のモチベーションの一つとして, 学生ブロックチェーンコミュニティの現状やその問題点についてメモをしました。

*0 : https://docs.google.com/document/d/1_36V4GC3OOtG7i4LB6ILLQw9zEBRAEMeY30WG2Sgi0Y/edit?usp=sharing

目次

  1. 学生団体は, 安くて優秀な人材のプール
  2. コミュニティ活動の価値は計り知れない
  3. 学生コミュニティとして活動することのメリットと苦悩

    1. 学生団体のリーダーは必ずしも勉強会参加者のコミットを引き出せるファシリのプロではないため, 勉強会のコンテンツ作りの役割がリーダーに集中してしまうことがあること。
    2. 勉強内容について, 学生の集まり以上の質が安定的に保証できない。教育に関する協力を申し出てくださる技術者はたくさんいるが, 勉強会のオーガナイズにうまく組み込めず, 利用できずにいること。

    3. 学生コミュニティの提供できる価値が学生にしか還元できていないため, 企業などに対して長期的な支援を頼みづらいこと。
  4. コミュニティイベントには 2 種類ある
  5. 学生や学生のコミュニティが (学生に, ではなく) 社会に提供できる価値
    1. 人脈の作りやすさ (学生で((英語が話せて))ブロックチェーンが好きというだけで迎えてもらえる)
    2. 挑戦に対する抵抗感のなさと, 海外のプロジェクトに対する需要の高さ
    3. 作りたいものや取り組みたい課題が見つかると, 自主的に短期間で少人数で集まってプロダクトのデモを作ったり, 自主的に分析した結果を公開したりする活動ができる自主性
    4. コミュニティの情報や主導権だって売れる
    5. 他にも学生コミュニティが社会に提供できる価値はあると思うが, ローカライゼーションの外注先にはならない方が良い
  6. 最後に~自分が学生コミュニティをつくるなら

学生団体は, 安くて優秀な人材のプール

2018年の春, あるイベントを自分の知人がひらくことになり, 自分の通っていた勉強会の代表や学生を巻き込むことになった。イベントの企画のために, 学生の子たちとイベントの協力者とでミーティングを開いたところ,ミーティング場所には学生に混じって知らないスーツの 50-60代ほどの方が腕を組んで鎮座していた。その方はイベント企画の間中一言も話さず, ミーティングが終わると学生らに名刺を配って去って行った。

今年 (2018) の春, 大学院を中退ほやほやの私は学生気分のまま, 友人の友人が代表の, ブロックチェーンや仮想通貨に関する学生主体の勉強会に, 純粋に勉強仲間を求めて通っていた (当時は, 業界の学生団体による第1回目の勉強会が始まったような時期であった)。しかし上記の一件があってから, 学生団体は, 優秀な, もしくは少なくとも暗号通貨/Blockchainに関する活動に積極的な学生のプールであることを認識した。自分の中の学生気分のままの部分は, 純粋に勉強をしたり, 暗号通貨/Blockchainに熱狂する仲間を見つけたくて入った学生団体が, そのようなプールとして見られることを嫌がったし, 一方で社会人の部分の自分は, そのような優秀な学生のプールに企業が何かしら関わりたいと思う気持ちも理解できた。

学生団体のチャットグループには, 学生経由で様々なアルバイトやボランティアの仕事が落ちてくる。時給1000円そこらの暗号通貨/Blockchainのリサーチャーのアルバイトや, 翻訳のアルバイト, 暗号通貨/Blockchain業界の企業やインフルエンサーが登壇するイベントのお手伝い募集。。。そして, 学生たちがお金を稼ぎつつこの業界に関わりたい, と思う時の発想も, 翻訳手伝います, イベントやリサーチやります, だったり, プロジェクトの SNS 運用をします, だったりと, 自分の時間を切り売りするもの (もちろん翻訳やイベント屋さん, リサーチ, SNS運用のプロになりたいという学生なら話は別だが) が多い印象である (中には自分で開発の勉強をしてから, エンジニアとして企業でインターンをし, スキルを身につけている学生もいる)。しかし, ここ 4 ヶ月ほど, 5 つの学生団体・学生コミュニティの活動や, 学生たち一人ひとりとコミュニケーションをするなかで, この業界の若い人にしかできないこと・可能性は, 翻訳, イベントやリサーチの比でないことを痛感した。

コミュニティ活動の価値は計り知れない

我々は, この業界がまだ非常に若く, 混沌としており, 将来的には必要な業界の機能であるのに, まだ誰も手をつけていない活動がたくさんあることを知っている。その必要不可欠な機能のうちの一つが,  アカデミックで若者 (年齢というよりは,  変化を恐れずに挑戦意欲旺盛な人のことを自分はイメージしている気がする) 主体の,  既存のビジネスやインフルエンサーの利権や意見などに本質的には左右されることがなくオープンで,  挑戦意欲にあふれたコミュニティである(適切で完結な表現が見当たらない)*1

そのようなコミュニティの原動力となるのは, (キャリアやビジネス上の評判, 家族を養うために必要な収入といった失うものを持っている) 社会人ではなく, 学生 (のような, アカデミックないし知識欲に満ち溢れたひとたちであり, かつある程度挑戦をしても失うものが少ない人や, 挑戦して失敗しても何とかなると構えている系の人, 失うものはあるが失うリスクを冒して意思決定ができる人) ではないかと私は考えている (適切な言葉が見つからない)。ともあれ, 学生の中には, そのようなコミュニティを自主的に作ろうとしている人たちや, すでに学生団体やサークルを作り活動をしている人たちがいる。

コミュニティが 2 人以上の人間の集団のことを指すのであれば, コミュニティというものは, 学生団体ができる前から存在していたことになるが, 学生団体の創設者たちが生み出した価値とは, そのコミュニティにラベルをつけ, 外部からその実態を認識可能にし, 新しいメンバーを受け入れたり, 学生メンバーたちが自分たちはコミュニティに所属しているという意識を持つことができるように演出したことだろう。これは, 翻訳やイベントの手伝い, リサーチアルバイトをすること以上の発想が必要な活動であると私はおもう。ラベルがついたコミュニティをつくることは, コミュニティが小規模であったり認知されていないときにはどのような価値があるものか想像しにくいだろう。しかしコミュニティが大規模であったりコミュニティに所属意識や愛着をもつコミュニティメンバーが増えるときに初めて, ラベルのついたコミュニティの重要度が認識されるのではないだろうか。外部から認識が可能なコミュニティの重要さの具体例として,  「この勉強会に行けば学生のコミュニティに触れることができる」と新参者が認識できることや,  すでに所属するメンバーが安心感・帰属感を持つことのできるような役割,  研究者が10年後に2018年の仮想通貨・ブロックチェーン周りのコミュニティの動きについて調査をしたいと願った時,  研究者がアプローチできる窓口の役割を果たしたりする。そのような機能をもつコミュニティを創設した学生団体のリーダーは, コミュニティ活動における意思決定者としての立場を獲得し, 業界に対してある程度の存在感を持つことになるだろう。

*1 また, ここでいうコミュニティとは, ((ブロックチェーンや暗号通貨が世の中を変える, などの)) 同じ価値観/ビジョンを共有する人間の集団のことである

学生コミュニティとして活動することのメリットと苦悩

1. 学生団体のリーダーは必ずしも勉強会参加者のコミットを引き出せるファシリのプロではないため, 勉強会のコンテンツ作りの役割がリーダーに集中してしまうことがある。

学生コミュニティは, 様々な企業や社会人からの協力が得やすい場合がある。営利目的の会社が借りようとすると場所代を払う必要があるようなイベントスペースでも, 学生が主体のイベントであると「非営利目的のイベントであれば支援したい」や「学生の学びを支援したい」といって貸してくださるところはいくつも思いつく。実際, 学生向けのイベントを開催したときは, 会場費を無料にしていただいたり, 無償ないしわずかなお金で登壇してくださる方に恵まれた。学生団体の勉強会のために, 企業の方が自主的に講演をしてくださったり,  勉強会にともに出席していただき, 内容にたいする技術的な面でのコメントをくださる場面にも出会った ( : ALIS : https://twitter.com/Blockchain_UT/status/987983976810737664, Gumi : https://twitter.com/Blockchain_UT/status/1032102758105542656, Yenom : https://twitter.com/cryptoage_jp/status/1031110394788511744, Hashhub : https://twitter.com/cryptoage_jp/status/1048905133113802753 の方がたなど)。海外のプロジェクトでも, 学生コミュニティを支援する活動に興味を持っているとファウンダーやコアメンバーが言っているところはいくつも思いつく ( : TLDR のアレックスや wings Stas, Metamask kmavis など)

企業や社会人が, 特に学生団体の勉強内容の質の向上に対して協力してくださることは, 学生の勉強会にとっては非常にありがたいものだ。学生主体の勉強会の難点の一つに,   勉強会のコンテンツをつくる役割が, 毎回学生団体のリーダーに集中し, リーダーの負担が大きい, というものがあるからだ*2

私が顔を出していた学生団体のリーダーと以前話した時, 彼は, 講演をしてくださる方を呼ぶことができると, 勉強会を開く負担が減る, という趣旨のことを言っていた。学生団体のなかには, 様々な企業や社会人の協力のもと, 学ぶ機会を増やしつつ, いっぽうで企業がイベントを開いたりアルバイトを募集するときはその告知を勉強会メンバーに行うことで, 持ちつ持たれつを実現しているところもある。

*2 20186月ごろに, 4大学の学生団体のリーダーとそれぞれ話す機会があり, この点について意見交換をした。この点について, 特に困っていると答えた学生団体は, 毎回の勉強会の参加人数が10人を超える規模のところであり講義式の勉強会になっていた。それほど困っていないと答えた学生団体は, 毎回の勉強会に参加する人数の平均が所感10人以下で議論しながら勉強を進める形式であった。学生団体は, 今年できたものが多く, いつでも誰でも, 違う大学であろうが, 社会人であろうが, 一回の参加であろうが, 勉強をしたいという人に対してはどこもある程度オープンな団体が多い (少なくとも私の知っている学生団体の勉強会 4 つは全てその特徴を持つ)。勉強会の参加者が多いにも関わらず参加者のコミットがあまり期待できない学生団体が存在するのは, 帰属意識を参加者に持たせていないことが原因なのではないかと考えている。ただ, オープンであることの良さを保ちつつ, 参加者に帰属意識をもたせ, 勉強会にコミットさせるスキルというものを, 勉強会を開いているリーダーたちが必ずしも持っているわけでも, 忙しさによりそこまで考える余裕があるわけでもないだろう。

2. 勉強内容について, 学生の集まり以上の質が安定的に保証できない。教育に関する協力を申し出てくださる技術者はたくさんいるが, 勉強会のオーガナイズにうまく組み込めず, 利用できずにいること。

学生団体の抱えるもう一つの問題は, 勉強会中に疑問がでた時に, 技術的な質問などに対してその場で解決してくれるメンター的存在がいないことだ*3。学生コミュニティの中には, 翻訳などのアルバイトを受けたり, コミュニティスポンサーを探すなどしてコミュニティ内でお金を作り, 毎回の勉強会で技術について聞ける人を継続的に雇いたいと考えているところもあった (お金で解決しよう的アプローチ)。勉強会に対して, ちょっとくらいなら喜んで手伝うよ, というエンジニアの方, 企業の方はたくさんいるが, 勉強会のたびにそのようなメンターに協力を依頼したり, 探すことはリーダーにとって非常に労力なのだ。技術メンターに, アドバイザーになってもらうなどして, 一定期間以上継続的/定期的に来てもらうこともできるだろう (例えば, Keio Health X  などの, 最新のテクノロジーを学ぶ医学生による学生団体などは, 様々な企業からメンター的役割の人を迎え入れている : https://www.keio-healthx.com/blank-2)。しかし, 勉強会が現時点でそれほど整理された状態ではない (協力者を依頼するスキームが整ってなかったり, 勉強会のコンテンツも先々まで決まっていなかったりなど) ことや, 社会人に定期的にコミットを求めるほどの win, 現時点で学生団体側が提供できない (ないし, 提供の仕方もまちまち) など (次章で詳しく説明), 様々な理由からその実現が叶っていない。

*3 20186or7月ごろ, 元ブロックチェーン事業に関わっていた方について, 学生団体が技術メンターを探していると相談をしたところ, いつでも相談をしてほしい。とご回答いただいた。しかし, そのような方を学生の勉強会に毎回お呼びするわけにもいかないので, 一度ある学生団体には, 毎回の勉強会で出た疑問をブログなどに公開すれば, 私や学生団体を気にかけてくださっている様々な方が疑問解決に尽力してくれて, コメントなどくれるはずであるから試してみたらどうか, と提案したことがある。

3. 学生コミュニティの提供できる価値が学生にしか還元できていないため, 企業などに対して長期的な支援を頼みづらいこと。

また, コミュニティを盛り上げようとして, 様々なプロジェクトとイベントを開く学生コミュニティもある。そのコミュニティのコアメンバーたちは, 様々な国内外のプロジェクトやアカデミックな機関を巻き込み, メンバーに対して質の高い教育や挑戦の場を提供できるようなブロックチェーンコミュニティを作りたいと考えている。現時点で, そのコミュニティの活動は全て学生のボランティアで成り立っているが, 上記のビジョンを実現するためにはそれなりに大人数の, かつ長時間のメンバーによるコミットが必要になってくる。学生コミュニティのコアメンバーたちは, コミュニティの活動にコミットしてくれた学生に対して, それなりに報酬をはらえるような団体にしたいと考え, 報酬を払うためにスポンサーを探したり, 翻訳などの仕事をコミュニティ内で請け負うことなどを考えているそうだ。

これは, 重要な取り組みである。なぜなら, 短期的な翻訳やリサーチのアルバイトを受けるよりもクリエイティブな活動をしているのに, それに対する報酬がないと, コミュニティ活動をするためにコミュニティ活動とは別にアルバイトをしなくてはいけなくなってしまうからだ。しかし, そのようなコミュニティは, 学生にとっては価値があるが, スポンサーとして出資を依頼する企業ないし投資家に対しては, 安定的に相応の win を提供できるものではなく (例えばリクルーティング機会になる, と謳ったところでその CV を保証できるものではない, など), 出資者の善意に頼ってしまう現状がある。また, 一部の理解ある人や企業にだけコミュニティ活動が支えられると, 理解ある人や会社のリソースが一方的に削られるだけで, 安定した活動が見込めない。学生だから助けてください, にはいろんな意味で限界があるのだ。

そして, これは個人の所感であるが, このような学生団体が, 将来的に研究団体として発言力や存在感を有し, 規模の大きなことに取り組もうとするときに一番必要になってくるのは, 適切なパーティーに適切な要求をしつつ相手にwinを提供する交渉力, 学生/若い人の集まりでしかできないことを見つけ, winとして売りにすることで「学生だから助けてください」的立場から卒業することではないか, と思う*4。この交渉力は, 201810月の現時点では, どの学生コミュニティも持ち合わせていないように思う。

*4 一緒に提携したり活動したりする企業や社会人のデューデリをする能力 (盲目的なフォロワーにならないように客観的に相手の実績を判断することにより, 学生団体のネームを守ること) も必要だ。

コミュニティイベントには 2 種類ある

CryptoAge (https://twitter.com/cryptoage_jp), Hash hub (https://www.hashhub.tokyo/)など, 学生の活動を盛り上げたり支援したりするコミュニティや拠点,  Meni Rosenfeld bitcoin meetup (https://www.bitembassy.org/)や Ken Shishido さんらの開く東京 bitcoin 会議 (https://www.meetup.com/ja-JP/Tokyo-Bitcoin-Meetup-Group/), ゼニハウス (https://twitter.com/zenihouse) でのビットコインとは何かの初心者向けの無料の解説会や, サンタルヌーでの飲み会 (https://belgianbeer.tokyo/), 参加費無料のピッチイベントやインフルエンサーによる登壇やセッションのイベントなど, コミュニティはいろんな実体として, 我々の前に姿を表す。これらコミュニティイベントや拠点の中には少なくとも 2 つの種類のモチベーションがあるのではないかと考える (カテゴライズできていないものもあるので, 2  種類以外の形態も存在するだろうとは思っている)。コミュニティイベントの種類につける名前として適切なものが思いつかないため, 種類 A, B として紹介する。以下, コミュニティイベントとは, 参加者無料のもののみを対象とし, 教育や情報発信, 交流などが目的で, かつ営利目的ではないこと&企業同士のマッチングやリクルーティングも視野に入れたカンファレンスなどのイベントではないものとする。

種類 A : 東京bitcoin会議, テルアビブのBitcoin embassy, ゼニハウスでのビットコインとは何かの初心者向けの無料の解説会など, この業界に興味を持った人が交流できる場所を安定的に用意するイベントや拠点。ミートアップの参加者の情報などは集めず (ミートアップでの参加ボタンを押す必要があるが, 入り口でチェックしたり名刺集めたりしない), イベントへの出資者が少なく, 出資者あたりの負担が比較的大きい印象の活動である。集めるべき目標人数もなければ, 特定の属性を持つオーディエンス (エンジニア対象だったり, 学生対象だったり) だけにフォーカスしたイベントでもない。来る者の属性を主催者側が選ばず, 参加者にコミュニティ (自分と同じく暗号通貨やブロックチェーンに何かしら興味関心をもった集団) と必ず接触できる物理的場所や機会を無償で提供しているところに非常に意味がある。仮想通貨ないしブロックチェーン周りのコミュニティメンバーの交流の場を設けることにより, 草の根的にコミュニティを盛り上げる運動を何年も続けている方々がいることは非常に尊敬に値すると私は思う。似たようなものに, Meni Rosenfeld が bitcoin embassy にて主催するビットコインミートアップがある。このミートアップは, 毎週水曜日にイスラエルのテルアビブで開催され, 業界に2013年くらいからいる Meni , Meni の運営している bitcoin embassy を運営する方が, 「ビットコインとは何か」, を参加者にヘブライ語で解説している。ブロックチェーンやビットコインに関心を持った人が入門として顔を出すようなミートアップである。このミートアップも, 事前登録が必要であるが, ミートアップ会場で登録者をチェックしている様子はなく (データを何に使っているのか今度聞いてみよ…) , ビットコインやブロックチェーンに関心を持つ人を少しでも増やそうとしている草の根的活動と言える。この種類に共通しているところは, おそらく主催側が「自分がやらないと誰もやらない的」使命感により少なくとも 1 年以上前から開催されているものであり, スポンサーがいない身銭を切った活動であるということであろう。毎回のイベントの趣旨自体は代わり映えするものではなく一貫性があるが, コミュニティ形成にとって, 「少なくともこのイベントは今月も絶対に開催される」ことの安心感をオーディエンスに与えることは非常に重要であると思う。東京では, 仮想通貨やブロックチェーンに関するイベントがあふれ出したが, ほとんどが一回で終わってしまうイベントであることが多い。しかし, 上記のイベントは, 毎回のミートアップで同じメッセージを参加者に向けている。登壇者, 主催者も変わらない。同じメンツが来ることも多い。

種類 B : 学生コミュニティや学生団体などの開くイベント。程度の差はあれど, コミュニティであることを売りにして, 協力者のイベントに対するコミットを引き出しながら, コンテンツを充実させたり参加人数を拡大する, という性質やモチベーションを持つイベントを指す。また, イベントを開くときに, 一定数の学生やエンジニアと接することができることをインセンティブとして(リクルーティング目的のイベントではないので, あくまでも企業や個人の方の「学生の学びを支援することはこの業界にとって重要である」という善意やビジョンへの共感を頼りに), 企業やプロジェクトに協力を依頼する, というシーンがあるコミュニティイベントである。このようなコミュニティイベントは, 一回一回のイベントの質は他のピッチイベントなどに比べると高く (オーディエンスから発せられる質問の質などが高い), またオーディエンスが (コミュニティに対する親しみを持っているためか) twitter 上などでイベントに関するツイートを自主的にしている印象がある。企業側が, 例えば学生対象に単発のイベントを開きたいと考える時は, 上記のような学生団体と手を組むことによるメリットは大きい。

しかし, 学生向けのイベントや勉強会を行なっているだけの学生のコミュニティが, それ以上の機能 (ex. 研究/教育機関的役割だったり, 学生起業家集団の支援だったり) を持ちたいと考えると, 途端に企業側が永続的にそのような学生コミュニティを支えるメリットが見えにくくなり, 学生コミュニティ側にそれなりの「相手にwinを提供できる」交渉力が必要になってくる。ある学生向けのイベントや勉強会を行なっている学生のコミュニティに聞いたところ, 彼らが言う現時点で提供できるwinとして提示したのは

・学生支援をしている企業としてのイメージアップ

・優秀な学生への認知*5

などであった。が, これは学生コミュニティと一回イベントを開くときに得られるメリットとほぼ同じであり, 企業側は「学生コミュニティと1回イベントを開く」だけの関係を選ぶであろう。

現時点で学生コミュニティに必要なことは, 「学生コミュニティが社会に提供できる価値」を, 学生の発想から抜け出して考え (自分たちが何をしたいか, だけではなく, 社会が自分たちに何を求めているか, も考える), 企業や社会人に「売」ることで永続的に支援をしてもらい, 研究活動等に打ち込めるような環境を作ることである。この環境づくりは, 翻訳やSNS運用のアルバイトを引き受けるクラウド化して時間を切り売りしたり, イベントにボランティアを派遣するといったような人員を貸し出すことのできるプール化することではない。ベストな環境づくりの発想を得るには, 多くの「商売やビジネスの感覚を持った人間」のセンスが必要になってくるのである。私のような個人が考えるには非常に限界があることを自分は今身を以て体験しており, 皆さんに協力を要請したくてこの文章を書いた。

*5 優秀な学生が必ずしも御社に入社したりインターンに来てくれるとは限らないし, 起業を自分でしたい系の学生は, 時として「自分で決めたい, やりたい」意欲が強いのでアドバイスをいけ入れなかったり, 様々な人のアドバイスを独自に解釈して行動するため, 企業側からすると扱いづらいこともあるのではないかと思う。

学生や学生のコミュニティが (学生に, ではなく) 社会に提供できる価値

私個人が考え得る限りの学生のメリットを挙げる。

1. 人脈の作りやすさ (学生で((英語が話せて))ブロックチェーンが好きというだけで迎えてもらえる)は間接的に日本人コミュニティに還元することができる

学生団体の一つが, クラウドファンディングにより集めたお金などを用いて, 海外にリサーチに向かったことは記憶に新しい。そこで彼らにリサーチをした感想を聞いたところ, プロジェクトだけでなく, 他国の学生団体や研究機関にも快く迎えられたということだ。彼ら学生のつくる幅広いコネクションによって, 彼らにつながりを持つ学生やその他コミュニティメンバーが間接的に幅広いコネクションにつながり, 将来的に日本のコミュニティができることが増える可能性は高いのではないかと考える。

20186月ころまで, 自分は, ICO を成功させたことのあるような勢いのある海外の暗号通貨/Blockchain関連プロジェクトなどを相手にした窓口のような仕事をしていた。その中で, 英語である程度コミュニケーションが取れる学生/若者で, かつ暗号通貨/Blockchainが好きであるというだけでも, 人材として予想以上に需要があることに気がついた。この界隈は, 成功しているプロジェクトであっても, 規模的には「スタートアップ」であり, 常に人材不足である。そして人件費にたくさんはお金を払えず, 何かのプロフェッショナルであり高給の人材を雇うよりも, ビジョンに共感し, ビジョン達成のために常に学び続ける人を重視して雇うイメージがある (個人的な感想であり, 統計的事実があるわけではない)。個人的には, 日本でこの業界で学び活動する学生たちは, 起業したりスタートアップで働くことに対して抵抗が少なく, ブロックチェーンに限らず新しいイノベーションに敏感 (以前学生対象の勉強会でアンケートを取ったことがある) , フットワークが軽い印象であるため, 海外プロジェクトの日本におけるスポークスマンとして働きたい学生がいれば, その学生の需要は非常に高いと考えている (そのような若い人材に興味がないと答えたプロジェクトは, 少なくともここ2ヶ月でで出会ったプロジェクトの中にはいなかった)*6

そして, 積極的に海外のプロジェクトと関わりたいと考えている学生は, 日本のブロックチェーン/暗号通貨コミュニティにとっても貴重な存在である。なぜなら, 現時点で有名なブロックチェーン/暗号通貨系プロジェクトは全て海外のプロジェクトであり, 海外のプロジェクトにジョインしている日本人はまだまだ少ない (個人的な意見)。よって, 日本のコミュニティが海外のプロジェクトと提携したり一緒にイベントを開いたりなどをしたいときに頼れる日本人の数が根本的に少ない (個人的な意見)

積極的に海外と関わりたい学生が, 世界各国のプロジェクトに一人でもジョインしていたり, 深い関係を築いたりすることで, 例えばその学生が日本の企業に将来的に就職すれば, その学生は日本の企業と海外のプロジェクトを繋ぐ要になる。学生が海外のプロジェクトに就職し, 海外の情報を日本に発信する存在となれば, 日本の企業やコミュニティが, 海外のプロジェクトに対するコネを今以上に有することになり, 日本人コミュニティに入ってくる生の情報や人脈の質が全体的に上がるのではないかと考えている。

海外のプロジェクトと学生のマッチングがうまくいっていない理由があるとすると, それは両者の要求がかみ合っていないことにあると考える。

例えば, 海外のプロジェクトが日本の学生を雇いたいと考える理由は主に 2 種類あることを, ヒアリングの結果 (10プロジェクト以上は確実にヒアリングした) から感じた。一つは安くて優秀な人材 (SNS運用やコンテンツ作りなど, 日本におけるローカライジングを手伝ってもらう労力) として。 もう一つは自社プロジェクトの日本におけるスポークスマンとしてだ。この 2 種類の理由は, ともに日本市場に入る上での人材としての利用という趣旨であるが, 要求する仕事の質が圧倒的に異なる。前者はアルバイトとして, 顔出しなしで時間を切り売りして活動することだ。そして後者は, 同志としてプロジェクトの顔として活動することだ。現在の仮想通貨の下り相場では, 海外のプロジェクトが日本においてプロモーションをする際には, 専門PR&マーケティングの会社に頼まずに, アルバイトに依頼して安く済ませたいという前者の需要も出てきたが, 後者の需要の方が圧倒的に高いという所感を自分は持っている。

ある海外プロジェクトの「同志として」働く日本人は, その海外のプロジェクトのCEOや役員などにとって「信頼できる日本人」となり, 将来的には, 例えば日本支社を作ることになったらその支社の社長を依頼される可能性がある人間となる。そして, 「同志として」働く, とは,  例えば日本で行われるカンファレンスなどに, 海外プロジェクトの代表として登壇したり, 日本企業とのミーティングを任されることである。海外にいて日本人とコミュニケーションをとる機会が少ないプロジェクトが, このような人材を獲得できる可能性は非常に低い。そして, 「同志として」働く日本人を見つけることができないために, 日本支社を作ることができない (進出が面倒になる) 事態も生じることがある。

さて, 海外のプロジェクトで仕事をしたいと考える学生が, 海外プロジェクトの求めていることが主に「アルバイト」ではなく「同志」であるという発想を持つだろうか。いいや, 普通は持たないだろう。以前, 海外のあるプロジェクトにインターンをしたい学生がおり, 海外プロジェクトに紹介をしたことがある。そのとき, 学生はプロジェクトが「アルバイト」を求めていると考えており, 一方でプロジェクト側は「同志」を求めていたため, 海外プロジェクトと日本の学生の話が噛み合わない, ということがあった。学生に, 「同志」のニーズがあることを伝えると, 顔を出してプロジェクトを応援するリスクはなるべく冒したくないという返事が帰ってきた。確かに, 物理的に距離の遠いプロジェクトないしプロジェクトのCEO, 学生がそのプロジェクトの掲げているビジョンだけで信用できるようになるか, と言われると否であろう。ビジョンに共感できることと, 経営者を人として信用 (, そしてこの経営者のために働きたいと思うことが) できるかは別問題だ。学生もお金や機会がないため, 積極的に海外のカンファレンスやインターンに行くなどして様々な人と深いコミュニケーションを築くことが非常に困難であるし, 海外のプロジェクトが日本にくることのできる回数も, そう多くはない。

海外のプロジェクトに, エンジニアとして働きたいという学生に関しても, 同じような「お互いのwinがかみ合わない現象」が生じる。海外のプロジェクトからすると, いくら人件費の安いエンジニアだからといって, 遠隔からのインターン希望であったり英語が母国語でなかったりすることでコミュニケーションコストがかなりかかる日本人の学生をわざわざ雇う義理はないのだ。この場合, エンジニアとして働きたい学生側が, 海外のプロジェクトがいま何を必要としているかを理解し, 自分から要求内容を工夫する必要がある。それは一段落前で挙げた「同志」のニーズを考慮することである。エンジニアとして海外プロジェクトにインターンを希望する学生なら, 例えば, そのプロジェクトが日本に来日する際はミーティングやイベントの登壇/主催に関することを手伝う, だったり, 日本語に関する翻訳のチェックを手伝うだったりを提案するなどして, 相手にとってもwinが強くなるような状態を, 相手に頼らずに自主的に作り出すことが必要である。「インターンしたいです。自分を活用する方法はあなたが考えてください」では忙しいスタートアップも判断に困るのだ。

このような噛み合わない現状は, 学生が悪いわけではない。学生は, 私もそうであったが, インターンをしたければ wantedly や就活サイトなどで様々な募集を見つけることができるからだ。アルバイトやインターン, 就職の条件に関してはデフォルトとして受け身であり, 自分で交渉する機会などは私も含めなかなか日本では恵まれないのだ。また, 学生と海外のプロジェクトの根本的なコミュニケーションの機会が少なかったり浅かったりすること*7 により, 学生側が信頼できる人を海外に見つけたり,  海外のプロジェクトがいまどんなことに悩んでいるのか, といったことにたいして知ったりする機会がないことも原因としてあるだろう。海外の人脈を持った大人が, このような学生と海外のプロジェクトの出会いの場をたくさん用意しつつ, 学生に対してはどのように海外のプロジェクトに接すれば良いのかをアドバイスしながら, 両者の交流を手助けするか, この記事を書くことしか現状解決策が見当たらない。

*6 また私は, 異なる文化圏の人間 (海外の人) を交えて仕事をすることは非常に勉強になると考えている。異なる「当たり前」を持つ人とコミュニケーションをとると, 自分の世界観の狭さや傲慢さに気がつくことが多く, そして自分と異なる「当たり前」を持つ人は比較的海外の人 (日本文化の中で育っていない人) の方が多いと感じているためだ。

*7 海外のプロジェクトのピッチイベントに学生が参加し, いくつか質問して最後に記念写真を撮って, 学生はプロジェクトのCEOに一切連絡先を聞かずに, もしくは連絡先を知ってもその後のコミュニケーションをせずにおわることが続くようでは, いつまでたっても日本の学生と海外のプロジェクト間の深いコミュニケーションはできない。連絡先を聞き, (メールで質問ぜめにすると相手も返信が来なくなるので,) 相手がカンファレンスなどに行くタイミングに合わせて自分も相手に会いに行き, オフラインでのコミュニケーションを何度かしてから 1 1 でどこかご飯に行ったり話したりする機会を設けることは重要だ。一対一で深く議論をすれば, なんとなく合う合わないはわかるはずであるし, そこから深い付き合いは始まってくるものであろうと思っている。

2. 作りたいものや取り組みたい課題が見つかると, 自主的に少人数で集まって短期間でプロダクトのデモを作ったり, 自主的に分析した結果を公開したりする活動ができること

学生の勉強会や, 勉強会に参加している学生などによくありがちなのが, ブロックチェーンや暗号通貨に関する技術やビジネスについて学び, 実際に自分でも(もしくは学生団体として)なにかしてみたいけれども, 解決したい問題を持っていないことだ (そして,「お金儲けには興味を持っていない」「なにか社会のためになったりインパクトのあることや, 面白いことをしたい」系であることが多い) よって, 例えば仲間と起業することに興味があっても, 事業内容が決まらないので, すでに事業に取り組んでいるスタートアップにジョインする, という例をよくみる。

学生たちが,「解決したい問題を見つけるきっかけ」として自分が知った例としては, 「アイデアソンなどをきっかけにして自分たちが考えたアイデアをもう少し詰めてみたい」とか, 「学園祭などのきっかけに合わせてプロダクトを開発したい」とかがある。この業界の技術に熱をあげている若い人たちを見ていると, 作りたいものや取り組みたい課題が見つかると, 彼らは自主的に短期間で少人数で集まってプロダクトのデモを作ったり, 自主的に分析した結果を公開したりするモチベーションが高い印象を受ける。このような自主的な活動ができることは, 彼らの非常に素晴らしい性質であるから,  学生や学生のコミュニティが社会に提供できる価値として活かした方が良いように思える。

例えば, どこかプロダクトを有しているプロジェクトと短期で提携し, プロダクトのユーザーを広めるための実証実験に関わ ( : 導入事例を作) ったり, その中で生じる様々な弊害 (そしてその弊害の解決には, テクノロジーの力だけでなく, 様々な学問の力を必要とするだろう) に対してコミュニティ内で研究し, プロダクトの必要性や課題などについて客観的に議論し, その結果を公に共有する (対企業やプロジェクトに対するメリットにもつながる) というのはどうだろうか。そのような活動を, 比較的小規模な提携から実行していき, 質の高いナレッジを公にシェアすることで, 学生コミュニティの存在意義, 有益性を日本の企業群やインフルエンサー群に対して訴えるのはどうだろうか (コミュニティと企業が提携する, のではなく, コミュニティ内の一チームがある事業で企業と短期的に提携することの提案である。ただし, この提携をするには, *4で触れたスキルが必要になる)

3. コミュニティの情報や主導権だって売れる

暗号通貨/ブロックチェーン業界の企業だったら, 学生コミュニティの有するアセットとして魅力的に思うのは, イベント参加者やコミュニティメンバーの名前と連絡先の名簿 (何か告知や活動をする時に協力を養成するためのプールとしての役割) , コミュニティ活動に自身の意見を反映させることのできる権利を得ることで自身のアセットを増やすことだろう (実際のコミュニティ運営における実働の責任や苦労は負わずに, 必要なときだけリソースとしてコミュニティを呼ぶことができる, イメージ)

学生コミュニティと良いつながりを持っている, ということは, それだけで企業/社会人にとっては売りになる (これは学生コミュニティに関わる社会人や企業のみんながみんな, 都合の良いときだけ学生プールを利用しようとしている, という主張ではない。学生コミュニティを支援することで, 将来的に自分の活動がしやすくなるだろうし, たとえそうならなかったとしても, 学生を支援することは草の根的活動としてやっていきたいと考え, 時間や知恵, 場所などを惜しげも無く支援してくださる方は確実にいる。しかし一方で, 20184月ごろ, ある人がイベントを開く際に, その人と関係が深かった学生団体が, その人によって勝手にイベントのボランティア実働として働くことにされていたことがあった, という話もあったのだ)

学生のコミュニティは, 上記のような価値/売りにできるものがあることを理解した上で, コミュニティにとっても, それを支援したいと申し出てくれる企業にとってもwin-winの提案をできるようになることが必要であろう。学生コミュニティ側も, 相手に与える情報や権利の範囲を注意深く吟味しないと, コミュニティメンバーを売ったりメンバーからの信頼を欠くことにつながりかねないので, 慎重に塩梅を見極める必要がある。学生コミュニティの味方となって, そのような交渉ごとを仲介してくれたり, アドバイスをする大人が増えれば増えるほど, 学生コミュニティのリーダーたちはきっと, 自分たちがコミュニティ活動によって, 協力してくださる企業や社会人にどのようにお返しができるようになるだろう, と考えるきっかけが増えるだろう。

4. 他にも学生コミュニティが社会に提供できる価値はあると思う。が, ローカライゼーションの外注先にはならない方が良い

学生コミュニティの中には, コミュニティ内で翻訳やプロジェクトのSNS運用の仕事などを回してできたお金で, 技術メンターをお呼びしたり学生のコミュニティへのコミット (イベントの企画や手伝いなど) に対して報酬を与えたりしたい, と考えているところがある。しかし, そのお金を生み出す手段として, 学生コミュニティだからこそ提供できる価値 (単発のイベントをプロジェクトとともに開き, そのイベントの際に必要な稼働費をプロジェクトに請求したり, カンファレンスに学生参加者枠があったら, その集客を申し出るなどしてその報酬を活動費に回す, など) を提示するならまだしも, プロがいる業界に手を出す (コミュニティ内で翻訳やプロジェクトのSNS運用の仕事などを回し, ローカライゼーションの仕事をしようとする) のは本気でオススメしない (学生コミュニティの中で, 本気でSNSマーケティングや暗号通貨/ブロックチェーンプロジェクトのコンテンツ作りに興味があり, そのスキルを磨きたいというチームがいれば話はべつだが。。。)。ローカライゼーションの仕事は, 細かい仕事や役割分担が多く, 誰が今何をやっているか把握するだけでも一苦労であるため, コミュニティをアルバイトのクラウドとして使うには限界があるからだ。プロでもないので, コンテンツのクオリティも, マーケティングの効果も保証できない。コミュニティ内で仕事が回らなければ, コミュニティに仕事を外注したプロジェクトとコミュニティ間の関係も微妙になってしまうだろう。翻訳, SNS 運用などプロのいる領域の仕事を学生が時間と人材のリソースを切り売りすることで対抗しようとしても, それは学生コミュニティが学生にしかできない価値を社会に提供しているとは言えない。

最後に~自分が学生コミュニティをつくるなら

学生=学校に通う人というのであれば私は学生ではないが, 研究活動とそれをシェアすることは非常に好きだ。自分が学生コミュニティを作るなら, どのようなコミュニティを作るのか, ここ3ヶ月ほどずっとそのスキームなどについて考え, 様々な人たちから助言をいただいた。もしそのスキームをともに実現し, 長期的には受け継いでくれる学生や, コミュニティ形成・育成に興味のある社会人の方がいらっしゃったら, ぜひ相談にのってほしい。ここでその全貌を書くと, 気持ちが入りすぎて記事がより長くなってしまうため, 興味のある方がいらっしゃったら, ぜひどんな形でも連絡していただけると嬉しい。

この話の最初に, 学生団体に近づく怪しい社会人に嫌悪感を感じた経験を書いた。しかし, 学生と関わっていくうちに, 善意だけで (ビジネスをせずに) 一方的に学生の相談に乗ることは非常に辛いものであることを身に染みて感じた。そして, なるべくエゴな要求を学生にしないように気を遣ったり, 自分は学生と関わることで, ノーリスクで学生アセットを手に入れて利用していないか, とか, 自分は学生を利用する怪しい社会人なのではないか。と, 綺麗に行動しようとすればするほど, 自己嫌悪になることが非常に多かった。今もその状態が続いているが, イスラエルで全く別のことをしている中で, 少しづつその憂鬱から解放され, この記事を書くに至った。この記事を書くことで, 自分が怪しい人間ではないと皆に証明してほしいだけなのだろうと思う人もいるだろう (それも一部あるだろう)。が, 自分が本気で悩んだ経験やその経験を分析した結果を様々な人とシェアをしたかったので, ここに記した。最後まで読んでいただき, 本当にありがとうございます。

仮想通貨業界辞めて、AIと日本酒業界入ります

まえがき

今年の 6 月に仮想通貨・ブロックチェーン関連の仕事を辞め、11 月からAI と日本酒を扱う会社に入ることを報告いたします。

仮想通貨・ブロックチェーンの業界での仕事を離れることにした理由を今の気持ちのまま忘れないうちに書いておきます。

( : 後ろの文章ほど、他人が理解するのに必要ないろんな前提をすっ飛ばして書いております)

仮想通貨・ブロックチェーンの業界で行き詰まりを感じた経緯

この業界に残ることによる選択肢は以下の2つではないかなと思います。

(1) 日本でプロジェクト発起や仮想通貨関係の企業を立ち上げるorジョインする

(2) 海外のプロジェクトを日本で広める

(1) は、日本で成功してから海外へ、の概念があまり性に合わず (初めからグローバルスタンダードを目指せば良いんじゃないか) に選びませんでした。

そして、(2) には以下の 2 つの活動方針があり、それぞれ別の理由で選択を断念しました。

  1. 認知活動の下請け (SNS 運用や記事コンテンツ作成、イベント活動) 活動。認知活動の下請けは限界があるし、SNS 運用だけならプロでなくてもできてしまうなかで、強いブランド力なく差別化することができるのかわかりませんでした。大手のPR会社がこの業界に参入して来ていない以上、どの企業も社歴が浅いぶん広告の窓口となる会社へのコネクション作りにまだまだ成長の余地があり、一般の人を巻き込むインパクトのある活動をするイメージがつきませんでした。
  2. 固定の海外プロジェクトのジャパンアンバサダー的存在となって、日本企業との連帯を目指す活動。この場合、日本でのプロジェクトのビジネスミーティングを補助したり、日本のスポークスマンとして動くことが想定されます。ぶっちゃけ日本ではこの人材が足りない((以前このアンバサダー的存在を増やす目的で勉強会を開いたが、ローカライゼーションを受託して短期的に銭をかせぐ活動と勘違いされて終わってしまったので今後も勉強会を続けていきたい)) でも、果たして日本の企業が海外のプロジェクトとうまくやっていけるのかは甚だ疑問で、結局は日本の企業との提携は望めず、日本ではおそらく相談窓口の活動以上のことができないだろう、と考えました。

3 の選択肢として、日本にこだわらず仕事をする、というものがありますが、日本語 7 英語 5 ビジネス経験ほぼ 0 の自分のままでは日本の外ではなにもバリューがないと感じました。そこで、どんな世界に放り出されても稼いでいけるような強い人間になる必要があると思いました。

恥ずかしながら、私はいままで自力で (自分の前職の会社や前職で知り合った人たちの名前や権力を借りずに) 成し遂げたことなど一つもありません。よって、自分よりも大きな存在が「右」、といったときに、それでも自分が信じる方向に進み十分に食べていけて、かつ、ついてきてくれる人を食べさせていく力はまだないと思います。

また、人間が一生涯を通じて人生をかけて守りたい人間の数というのは限られます。ゆえに、人間は追い詰められると、自分がその人の人生にとって非常に重要な存在でない限りは切られることもあると思います。私は、他人を信頼はするけれど、同時にその他人がいなくなっても生きていけるほど大きな器をもちたいと思いました。どんな状況下でも食べていける自信や他人を支える自信があればそれは可能だと思います。人がたとえ貸し借りを理解していない人だとしても、大きな器を持っていれば、人を許すことができるからです。そして、そういう人こそ、ついてきてくれる人を守れる器がある人なのだと思います。

今の会社は、テクノロジーにより日本の伝統継承をまもるというそのコンセプトの面白さもさることながら、自己資本で会社を回してきた社長に非常に尊敬の念を抱いたのと、上記の価値観に共感してくださる社内の方々に背中を押されたことなどから入りました。

今後やっていきたいこと

いま自分のやりたいことは、

・どんな状況でも自力で食べていけるようになること。

・日本に住む人が一生のうちにであう生き方のバリエーションの数を、増やす (離散ではなくほぼ限りなく連続的な選択ができるようにする) こと

です。

前者は、つまり次の会社から、会社経営をまなぶということです。

後者は、日本に住むことで人生はこうあるべき論を他人から押し付けられ、自分を追い込むことになるひとが少なくなったらいいなという思いからきています。また、結局何かを成し遂げる人は、自分がそれを成し遂げると考える自信の根拠が、出身会社や大学などの社会が用意した選択肢に基づくのではなく、自分の内にあるひとだとおもったのと、そのような人は、既存の (A もしくは B のような離散的な) 選択肢を飛び越えて (A+B/2 のような) 人生を選べるような人間だと思ったからです。

仮想通貨・ブロックチェーン業界でのコミュニティ活動

上節の理由から、自分はこの仮想通貨・ブロックチェーン業界でビジネスに希望は持っていないものの、様々な人を巻き込む行為 (好きなものを他人と共有するのが好きなため) そのものは楽しいと思っているので、現在は、私の身近な学生たちにいろんな提案をして、自主的に仮想通貨・ブロックチェーン関連のイベントを企画する後押しをしたり、海外のプロジェクトに興味がある学生を様々な形で応援しています。

さいごに

前職で応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。また、私の仕事が亡くなったときに助けてくれようとしてくださった方々、ありがとうございました。また、前職でたくさんいろんなことを教えてくださった社員の方々、みんなみんなありがとうございました。さいごに、私がどん底だったときに支えて守ってくれたあなた、お母さんお父さん、心配してラインくれた妹、ありがとう。これからも強く生きます。

仮想通貨・ブロックチェーンに関心高い学生へむけたアンケートテンプレ案

背景

8/6 に学生向けに勉強会を開きました。勉強会を通して、海外プロジェクトと学生を直接つなぐ活動をこれからするということを告知しました。また、仮想通貨やブロックチェーンに興味のある学生に対して自分たちがどれほど価値ある存在か、そしてどんな価値を海外プロジェクトに提供できるのかを彼ら学生に対して話しました。その詳細レポートは後日書くとして、今回は、要望がありましてその勉強会で使用したアンケートのテンプレを公開すべく記事を書きました。

以下、テンプレです。このテンプレを元にとったアンケートが、仮想通貨系イベントの主催者や学生支援者に役に立つものになりますように。

また、以前の勉強会でとったアンケートの結果は集計し次第、公表します。

テンプレ案

アンケートPDF資料のダウンロードはこちらから

以下、内容

1.あなたが仮想通貨・ブロックチェーン業界 (以下、この業界) に興味を持ったきっかけを教えてください。

2.あなたが仮想通貨・ブロックチェーン系イベントに来る理由を教えてください。当てはまる文章の(   ) にチェックをしてください。

(   ) この業界で起業したいのでその勉強のため

(   ) この業界で開発者として仕事をしたいのでその勉強のため

(   ) この業界でビジネスマンとして仕事をしたいのでその勉強のため

(   ) この業界での就職などは考えていないが、この業界で何がおきているかをとりあえず知りたい

(   ) この業界で共通の話題を話せる友達を作りたい

(   )(この業界関係なく) スタートアップ業界に興味があるため

(   )(この業界関係なく) 新しいテクノロジー領域に興味があるため (AI、IoT など,,,)

(   )(この業界関係なく) 革新的なビジネスモデルに興味があるため

(   )(この業界関係なく) 新しいことが好きで知りたがりであるため

3.あなたが仮想通貨・ブロックチェーン業界 (以下、業界) の以下の各ワードにどれほどの興味があるのかを教えてください。関心が高い場合を 5, ない場合を 0 として関心度合いを番号で表現してください。自分の興味領域を語るのに選択肢が不十分な場合は適宜、その他関心が高い点を教えてください。

(   ) 非中央集権

(   ) ICOプロジェクト

(   ) 技術

(   ) トレーディング

(   ) 仮想通貨取引所

(   ) 法律、規制の動き

(   ) メディア

(   ) 起業

(   ) スタートアップ

(   ) 投資、VC、アクセラレーター

その他 (                                                                                                                      )

4.非中央集権の以下のコンセプトに関して、どのような理由で興味がありますか。自分の理由に非常に合致している度合いが高い場合を 5, 全く合致していない場合を 0 として合致度合いを番号で表現してください。自分の理由を語るのに選択肢が不十分な場合は適宜理由を教えてください

(   ) 既得権益の破壊のコンセプト

(   ) 少額での国際間決済や投資、寄付のコンセプト

(   ) スマートコントラクトによる効率化のコンセプト

(   ) その他 (                                                                                                       )

5.ICO プロジェクトの以下の点にどれほどの関心がありますか。関心が高い場合を 5, ない場合を 0 として関心度合いを番号で表現してください。自分の興味領域を語るのに選択肢が不十分な場合は適宜、その他関心が高い点を教えてください。

(   ) トークンエコノミーという概念

(   ) いままでにないビジネスモデル

(   ) 新しい技術

(   ) 起業の一方法として

(   ) スタートアップ業界の一領域として

(   ) その他 (                                                                                                       )

6.技術の以下の点にどれほどの関心がありますか。関心が高い場合を 5, ない場合を 0 として関心度合いを番号で表現してください。

(   ) 開発行為そのもの

(   ) ビジネス応用

(   ) Dapps 開発行為

(   ) ビジネスでDapps 開発関係に関わることを前提とした原理の理解

(   ) プロトコル開発行為

(   ) ビジネスでプロトコル開発関係に関わることを前提とした原理の理解

7.トレーディングをどのような視点で面白いと感じますか。合致度が高い視点を 5, まったく合致していない場合を 0 として合致度合いを番号で表現してください。自分の興味領域を語るのに選択肢が不十分な場合は適宜、その他に面白いと思う視点を追加してください。

(   ) 統計学の応用領域として

(   ) 金融業界の一領域として

(   ) お金を稼ぐ手段として

(   ) その他 (                                                                                                       )

8.仮想通貨取引所のどのような点を面白いと思いますか。関心が高い場合を 5, ない場合を 0 として関心度合いを番号で表現してください。

(   ) 仮想通貨取引所という商売

(   ) 仮想通貨取引所の役割

(   ) 仮想通貨取引所システム

(   ) DEX という商売

(   ) DEX の役割

(   ) DEX システム

9.法律、規制の動きについて、なぜ面白いと思いますか。非常に当てはまると感じる理由を 5, 全くあてはまらない場合を 0 として理由の合致度合いを番号で表現してください。自分の理由を語るのに選択肢が不十分な場合は適宜、その他に合致度の高い理由を追加してください。

(   ) 知っておくとビジネスの役に立つから

(   ) 新しい産業に対する法律や規制がどのように作られ行われているかに興味があるから

(   ) 戦略的に自分がルールメイカーになることを目指しているから

(   ) その他 (                                                                                                                  )

10.法律、規制の動きのどのような点を面白いと思いますか。関心が高い場合を 5, ない場合を 0 として関心度合いに番号を振ってください。

(   ) 国別の規制の方針の違い

(   ) ビジネスモデルごとに、考えないといけない具体的な法律の事例

(   ) その他

(                                                                                                                  )

11.メディアのどのような点を面白いと思いますか。関心が高い場合を 5, ない場合を 0 として関心度合いに番号を振ってください。

(   ) 新しい産業に対する世論への影響力

(   ) 自分のノウハウを蓄積する行為

(   ) その他

(                                                                                                                  )

12.起業になぜ関心があるのですか。非常に当てはまると感じる理由を 5, 全くあてはまらない場合を 0 として理由の合致度合いを番号で表現してください。自分の理由を語るのに選択肢が不十分な場合は適宜、その他に合致度の高い理由を追加してください。

(   ) グローバルに活動する起業家になりたい

(   ) 国内で知られた起業家になりたい

(   ) その他

(                                                                                                                  )

13.スタートアップ、アクセレレーター、VC界隈になぜ関心があるのですか。非常に当てはまると感じる理由を 5, 全くあてはまらない場合を 0 として理由の合致度合いを番号で表現してください。自分の理由を語るのに選択肢が不十分な場合は適宜、その他に合致度の高い理由を追加してください。

(   ) スタートアップと大企業の連携に興味がある

(   ) スタートアップのアクセレレーティングに興味がある

(   ) VC で働くことに興味がある

(   ) その他

(                                                                                                                  )

14.本日の感想をお書きください

イスラエルのビジネスカルチャーレポート 2

目次

  • 日本とイスラエルは, ビジネスで手をとりあえるのか
  • イスラエルの苦手なところと日本の得意なところ. そしてその逆
  • 基本, 日本人はめんどくさいと思われていると思った方が良い

  • 日本がスタートアップ大国になるには 

日本とイスラエルは, ビジネスで手をとりあえるのか

今まで jewish  network でアメリカに市場を取りに行っていたイスラエルだが, Amazon 等の巨大企業が幅を利かせてアメリカなどの市場が取れにくいのと, 同じ様な技術が氾濫してしまっていることからも,  今イスラエルはアジアの市場に入りたがっているそのような意味で, 日本の企業に有利な状況かもしれない

とはいっても, イスラエル側は, なんの意味も無いお金はいらないという強気な姿勢なので, 彼らに提携をお願いする企業側はたとえばちゃんと日本に技術を持って行って,  ハンズオンでやってくれるなら投資受け付けるよ, みたいなスタンスを理解するべき. イスラエルでは, VC による資金調達のサイクルが回っているから, 逆に資金を欲しがっているところはあまり提携先として良くないのだ

イスラエルの苦手なところと日本の得意なところ. そしてその逆.

イスラエルの人は, 市場開発に弱い. これは, 市場がないためである. 逆に, 日本人のほうが市場開発に強いし, サービスを長続きさせることに長けていると言われている. そして, イスラエルはものを新しく作るのがうまく, 日本は新しいアイデアが生まれにくい. そのような, 違いの強み弱みがどのように重なるのかを答えを持っている人はいない.

イスラエルが優れているのは本当に技術力なのか

イスラエルは, 技術力本当に進んでいるのかって言われると, 日本の方がよっぽど進んでいる. したがって, 素晴らしい技術力を期待していると, 期待外れの結果に終わってしまうことが多いだろう.

8000社ある中で, 天才的な技術を開発している人は一握り. ではなぜイスラエルがそのスタートアップ大国と呼ばれているのか. イスラエルの人たちの何が魅力なのか. それは, 失敗を恐れないマインドである

軍があって, そこから自立するような精神を養っているのだ. 実は, 彼らは営業力がすごく強い人種なのかもしれない. 彼らは, ものすごい突破力を持っているのだ. そして, 彼らのたたき上げの技術を磨いて実際の継続的なサービスにまで落とし込んでマーケットを作るのは, 日本の企業かもしれない.

基本, 日本人はめんどくさいと思われていると思った方が良い

日本は, とりあえず話が聞きたいという理由だけでアポを取ろうとする.

だから, シリコンバレーと一緒で, だんだん, 話聞きたいだけの日本企業が,  イスラエルのスタートアップに嫌がられ始めている.

投資する場合は, 資金調達のあてはいくらでもあるので, お金だけではなく, 何か投資の際にプロジェクトにメリットを与えられるような提案でないと, 相手にとって魅力的に映らない.  日本の企業は, ただお金を投資して, 利益以上のもの (インテグレートしたい, とか) を得ようとする. イスラエルの人にとって一番めんどくさい客として認識されていることを知ろう.

人間関係に関しても, イスラエルに腰を据えて仕事をしないと, なかなか信用されない. これでも本当に, ただ「シリコンバレー」と騒がれているという理由だけで, イスラエルでビジネスパートナーを探したいですか? Yes なら, 素晴らしいことだと思います. 

日本がスタートアップ大国になるには 

日本も, 置かれている環境によっては, すごい突破力を追っているが, 今は平和ボケしてしまっているのが現状. 国によってステレオタイプ的に「**が得意な民族」と形容される「**」も, 時代背景によって移りゆくものであることを意識する必要がある. 明治維新や戦後に, 日本が, 0 から 1 を得意とする時期があったように. イスラエルだって, 平和な国になったら, 今の日本みたいになるかもしれない.

また, 日本のスタートアップには, 成功しているイグジット例がイスラエルのそれよりも少ないので, イスラエルと違ってスタートアップの目指すべきものが身近にない. 楽天とか, リクルートとかの社員が, 企業の社長に多いのは,  イグジットの様子を目の当たりにする機会が多く, 目指すべきものがあるからかもしれない