医療情報×ブロックチェーン勉強会 (3)医療情報をブロックチェーン上で扱うサービスの挑戦

前提

この記事は、下記リンクの勉強会『医療情報×ブロックチェーンプロジェクトの実現可能性と課題 [医学生向け集中講義&討論会!]』において学んだことを記したものです。この勉強会は、医療情報システムにブロックチェーンを用いることの是非や実現可能性を議論することを目的とし、医療情報システムの日本における規格作りのエキスパートとして一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会 (JAHIS) 様を、医療業界におけるブロックチェーン導入の挑戦者としてMediblocを招き、講演とパネルディスカッションを行ないました。本記事『医療情報×ブロックチェーン勉強会 (3) 医療情報をブロックチェーン上で扱うサービスの挑戦』では Medibloc 様の発表内容をまとめております。この記事の内容はあくまでも勉強会を受けた参加者個人の解釈をもとにまとめておりますことをご了承ください。

記 : https://www.meetup.com/ja-JP/Decentralized-Salad/events/256262260/

目次

  1. Medibloc 3つの特徴
  2. デジタルヘルスケアアプリケーションの現状
  3. 医療情報の価値とサイバーセキュリティについて
  4. 保険会社のあり方の変化
  5. Medibloc の現状

Medibloc の 3 つの特徴

Medibloc プロジェクトのうち、医療情報システムに関与しそうな特徴をあげると以下のようになる。

  1. 病院間での電子カルテの共有をブロックチェーン上で行うと言うもの。つまり, 各病院で各々保管されている医療情報を電子化して一つのデータベース上で管理するというもの。
  2. PHR をブロックチェーン上で行うというもの。PHRとは, 医療情報を個人が管理し、医療情報をどの病院や研究機関などに共有するかを個人が選択するシステムのこと。PHR をブロックチェーン上で行うというのは, ブロックチェーン上に記録された医療情報へのアクセス権限を, その医療情報の提供者本人だけが基本的に管理することができるというもの。
  3. 医療情報の売買や医療情報をもちいたアプリケーションの開発プラットフォームとしての側面。

デジタルヘルスケアアプリケーションの現状

ユーザーは本当は医療にお金を払いたくないので、医療系のアプリケーションはほぼ利益を作れていないのが事実である。現在存在するデジタルヘルスケアアプリケーションはほぼ全て生活にとって必要不可欠なものではなく、娯楽のために消費されることがほとんどだ。これは、デジタルヘルスケアアプリケーションがアクセスできる医療情報の範囲が限りなく制限されていることによる部分がある。ゆえに、デジタルヘルスケアアプリケーションプロバイダーは、この市場で勝負しようとするには病院や保険会社を相手にする必要がある。

医療情報の価値とサイバーセキュリティについて

ハーバードメディカルスクールの教授がいうには、ブラックマーケットでは医療情報は金融情報の20倍以上高く売れるほどの高い価値を持つ。しかし、患者は医療情報を得るための直接的なチャネルがないため、自分で管理をして利益を得ることができない。また、病院が医療情報を目当てにしたサイバー攻撃の対象になることもある。2ヶ月前に、シンガポールの医療情報データベースがサイバー攻撃され、大統領の医療情報を含め流出してしまった。ブロックチェーン上で医療情報を管理することにより、患者が個々人で分散的に医療情報を管理することにより1度のハッキングによる医療情報の大量流出を防げるのではないかと考えている。

保険会社のあり方の変化

最近、保険会社は医療費を工面するだけでなく患者の健康にインセンティブを与えるような仕組みを作っている。例えば、自分の健康状態や運動したことを保険会社にシェアすることにより、スポーツウェアなどの割引を得ることができる。この仕組みにより、患者は健康になる傾向が強まり、保険会社は医療費の負担を行う頻度が少なくなることが期待されている。このような取り組みは日本にもある (例 : 住友生命)。しかし、日本には他の国に比べて、多くの割合で高齢な方がいて多くの価値ある医療情報を作り出していると同時に、高齢者は患者として多額の医療費を払わないといけない現状がある。この仕組みを抜本的に変える仕組みはまだ存在していないのではないか。

Medibloc の現状

Medibloc は「Medibloc の 3 つの特徴」で挙げた (1)~(3) の取り組みにより、上節で挙げた医療情報分野における現状の打開を目指している。Medibloc は現在、まずは to B の医療情報市場に焦点を当てて、保険会社に対して医療情報が改ざんされていないかを確かめる仕組みを提供する予定である。詳しいプロダクトは次の四半期に公開予定であり、現在はシステムを HL7 FHIR に対応できるようにしている。ブロックチェーンも独自開発の予定である。

前回記事 : 医療情報×ブロックチェーン勉強会 (2)ヘルスケア分野におけるブロックチェーンの課題と未来

https://omegastep.com/2018/12/10/%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%83%85%E5%A0%B1x%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A-2/

次回記事 : 医療情報×ブロックチェーン勉強会 (4)日本の規格作る人の視点とスタートアップの視点

https://omegastep.com/2018/12/10/%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%83%85%E5%A0%B1x%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A-4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%A6%8F%E6%A0%BC%E4%BD%9C/